より小さなきずの手術

患者さんの個性にあわせた手術を行います

 2009年ごろから単孔式(たんこうしき)腹腔鏡手術といわれる、おへそのきず1か所で行う手術が急速に普及し始めました。宮部は浜松医科大学付属病院在籍時に2009年12月に静岡県の産婦人科医療機関では初めて、単孔式腹腔鏡手術を開始しました。これまで産婦人科の腹腔鏡手術では全部で3-4か所のきずをあけて手術を行っていました。単孔式腹腔鏡手術では下腹部にはきずがつきません。この理由から、単孔式腹腔鏡手術は美容的によいとされ、特に女性診療科である産婦人科ではメリットが大きいと思われました。しかし私たちは以前から、当然のことではありますが、女性のおへそのかたち、あるいはおへその周囲の体型、また下腹部のかたちなど、また患者さんの好みなどさまざまな違いがあることを認識していました。そのため単孔式手術を積極的に導入しながらも、そのデメリットである、おへそのきずが意外と大きい、またおへそが変形してしまう、また、でべそになってしまうリスクなどがあることなどを憂慮していました。そこで細径鉗子といわれる直径3mmやそれ以下の細い手術器具を使って手術を行う方法を取り入れました。これは古くて新しい方法でもあります。きずは細径鉗子をつかうと、手術後のきずは普通の腹腔鏡手術のきずとくらべてもずっと小さく、ほとんど目立ちません。また細径鉗子は細いため手術中は他の臓器を傷つけないように細心の注意が必要ですが、器具の細さを利用してより精密な操作ができると考えています。単孔式手術がよいのか、あるいは細径鉗子をつかった腹腔鏡手術がよいのか、あるいはこれらを組み合わせた腹腔鏡手術がよいのかは患者さんのおへそのかたちや体型によって柔軟に対応しています。また美容にたいする患者さんの考えかたは幅がひろいため、できるだけ患者さんの希望をとりいれて手術方針を決めていきます。
 またこのようなより小さなきずの手術を行う場合は、どのような病気やあるいは病気の程度にまで行うか慎重に検討します。これまでに行っている手術は子宮全摘術、子宮筋腫核出術、卵巣腫瘍手術などです。このような方法だからといって手術そのものが雑になったり不十分になっては全く意味のないことです。あるいは特におへその変形など、美容的に患者さんの満足が得られなければ手術としては不十分であるため、私たちのひとりよがりにならないように注意しています。

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