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子宮全摘術の腟カットライン

  • 執筆者の写真: Yuki Miyabe
    Yuki Miyabe
  • 5月29日
  • 読了時間: 1分

更新日:5月30日

 腹腔鏡下子宮全摘術(TLH:Total Laparoscopic Hysterectomy)を行う時、カップ式の子宮マニピュレーター(子宮把持器具)を使用している。カップ式のマニピュレーターは手術をを安全に行ったり、効率的に行うのにとても有効である。ずっと使用しているが他の方法(パイプを用いたTLH、vNOTESなどその他の子宮摘出)にはない患者さんにとっての最大のメリットは仙骨子宮靭帯(uterosacral ligament下図左赤丸)の上、つまり子宮側で腟を切開できる(下図右赤丸の点線)ことだと思う。

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A new technique and system for simplifying total laparoscopic hysterectomy; Charles H Koh.

J Am Assoc Gynecol Laparosc. 1998 May;5(2):187-92. より


 この切開ができることでcervical ring(子宮頚部まわりの支持組織)が本当にリングとして保たれる。すると仙骨子宮靭帯を含めた腟断端縫合が強固にでき、将来の骨盤臓器脱の予防になる。また腟管も長く保たれる。

 パイプを用いたTLH、vNOTESなどはほとんどが下の点線で切開されてしまう。カップ式の子宮マニピュレーターを用いたTLHの手術終了時の腟断端は良好に挙上していて腟も深い。もちろん骨盤臓器脱の予防としては限界はあるが、何年もあとの患者さんの人生に少なからず貢献しているはずである。

 
 

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