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細かな違いを認識する

  • 執筆者の写真: Yuki Miyabe
    Yuki Miyabe
  • 6月21日
  • 読了時間: 1分

 手術の経験数がふえてくるとお腹のなかの状況はそれまでに経験したり、勉強してきたことで対応できることが多い。多くの場合、既視感があり、いつもと同じ状況であるという判断で手術ができることが多い。やはり何事にも経験値は大事である。


 しかし腹腔鏡でお腹のなかをみたとき、それぞれの子宮や卵巣の大きさ、位置、あるいは癒着の有無、腸管や尿管の走行など大きな解剖はもちろんのこと、細かな血管や神経、膜などの細かな構造も微細には全員異なる。更には硬いのか軟らかいのか、あるいは緊張の具合、丈夫さ、脆さなどの触感も異なる。


 私達の生きていく世界にはいろいろな違いが多い。一方、その違いの中である程度の共通性、方向性を見出す必要がある。そんなときに不本意な思いをしてしまう場合もあるかもしれない。


 少なくとも手術中だけはその細かな違いを認識しようとする努力は続けたいと思う。そして細かな違いを認識しつつも安全を期して手術はすすめなければならない。そんなときに合併症をできるだけ起こさないようにしたい。

 
 

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