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帝王切開既往のある子宮全摘術―ゆ着の発生する理由

  • 執筆者の写真: Yuki Miyabe
    Yuki Miyabe
  • 2月10日
  • 読了時間: 2分

 先週の記事で帝王切開後の子宮摘出を行うときのゆ着のリスクが最近は減っているかもしれないことを記した。


 ではなぜ帝王切開がゆ着のリスクとなるのかというと、帝王切開の多くは「子宮下部横切開」という手法で行われる。これは子宮の下方の薄い部分を横に切開するものだが、この部位は解剖学的に膀胱のすぐ背側に位置する。手術時に膀胱を子宮から剥離して子宮筋層を切開して、児が娩出した後に縫合する。その組織が修復される際に膀胱と子宮がゆ着してしまうことがある。

 子宮全摘において子宮を摘出するためには、再び膀胱を子宮から剥離する必要がある。しかし、強固にゆ着している場合、正常な組織の境界線(層)が消失していることが多い。このとき膀胱損傷や尿管損傷のリスクが生じる。膀胱損傷、尿管損傷は患者さんにとっても婦人科医にとってもどうしても避けたい合併症である。


 近年の帝王切開率の上昇に伴い、子宮全摘の際に帝王切開の既往があることは割と普通のことである。約20年以上、腹腔鏡子宮全摘術を行っているが幸い、膀胱損傷、尿管損傷の経験は一例もない。しかしゆ着が強固であり腟上部切断の子宮摘出や筋腫核出術でリスクを回避した経験はある。


 最近は帝王切開の術式の変化により、強固なゆ着は減っているような印象はあるが、子宮全摘の際には相変わらず最も注意すべき手術既往の一つである。

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帝王切開後の子宮全摘はゆ着のリスクが減っているのかもしれない

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