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摘出した子宮はどこから回収するか?

  • 執筆者の写真: Yuki Miyabe
    Yuki Miyabe
  • 7月19日
  • 読了時間: 1分

 腹腔鏡下子宮全摘術は一般的におへそに1つ、下腹部に2-3つの小さなきずをあけて手術を行うことが多い。患者さんやご家族から摘出した子宮、特に子宮筋腫で大きな子宮はどこから回収するのか質問をうけることがある。


 摘出した子宮は基本的には腟から回収することが多い。子宮全摘は子宮に付属する血管、靭帯、腹膜などを子宮から切り離して最終的には腟と子宮だけがつながっている状態になる。そして最後に子宮と腟を切り離す。これで子宮が摘出される。このとき腟が開かれる。

ここが子宮の回収経路となる。患者さんからすると少し怖いかもしれないけど、婦人科医にとっては重要な経路である。もちろん1kgを超えるような子宮の場合はさらに細くして回収する必要がある。ただし体質的に腟が狭い場合はおへそのきずを少し拡げたり、恥骨上に小さな切開をいれてそこから回収する場合もある。


 腟からの検体回収はとても有効ではあるが、半不潔操作であることや腟からの操作で膀胱や尿管損傷を起こした事例も報告されている。特に子宮筋腫が大きかったり硬かったりするとやや力が入ってしまうこともあるので細心の注意をはらい、無理をしない操作を心がけている。

 
 

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