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子宮摘出後の卵巣のフォロー

  • 執筆者の写真: Yuki Miyabe
    Yuki Miyabe
  • 7月8日
  • 読了時間: 2分

 子宮筋腫や子宮腺筋症で子宮全摘をするとき、まだ閉経前であることが多い。閉経前ということは卵巣がまだ機能していて女性ホルモンを産生している。そのため原則卵巣を残すことになる。

 

 ところで産婦人科医は患者さんに内診台で経腟超音波検査(エコー)をするときに基本的には子宮と卵巣の両方を観察している。患者さんが産婦人科に受診するときは子宮に関する症状、検診が圧倒的に多い。そんなときに卵巣の病気、つまり卵巣のう腫、卵巣腫瘍、チョコレート嚢腫などは偶然見つかることが多い。子宮がん検診のオプションで経腟超音波検査を行ったり、妊娠して初めて産婦人科に受診したら偶然、卵巣の病気が見つかることがときどきある。


 しかし、子宮を摘出すると当然ではあるが、生理の症状に悩ませることもないし、子宮がん検診を受ける必要もなくなる。そのため産婦人科に受診することが少なくなるし、なかには生涯産婦人科に受診することがない人もいるかもしれない。


 そのため知らない間に卵巣のう腫や卵巣腫瘍が発生している場合もある。しかも卵巣の病気は初期段階ではほとんど症状がない。なかには良性の卵巣腫瘍から悪性転化といって卵巣癌に変化する場合もある。未だ卵巣癌の一般的なリスクの患者さん(いわゆる普通の患者さん)の超音波検査や腫瘍マーカーによる卵巣癌スクリーニングの有効性は明らかでなく、これを推奨されることもない。しかし日本では子宮を摘出していない患者さんは何かと経腟超音波検査をうけている機会があり、卵巣もチェックされていることが多い。子宮摘出後の患者さんはこのような機会がなくなる可能性が高い。そのため医学的なエビデンスは乏しいが、自分が手術をした患者さんに関してはできれば一年に一度ぐらい何らかのかたちで経腟超音波検査を受けたほうがよいかもしれないことを説明している。

 
 

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