top of page
検索

腹腔鏡手術とおへそ:なぜおへそから?

  • 執筆者の写真: Yuki Miyabe
    Yuki Miyabe
  • 2025年7月5日
  • 読了時間: 2分

 婦人科腹腔鏡手術は多くの場合、最初におへその中に切開をし、そこに細いスコープ(腹腔鏡)をいれることが多い。これは手術の過程において実は最も緊張する瞬間である。大血管や腸管があるお腹のなかに細い器具(トロッカー)を限られた視野で、できるだけ小さいきずで挿入するためである。ともすれば大事故(死亡例もある)につながる可能性もある。きずを大きくすればあまり緊張をせずにトロッカーを挿入することはできるけど痛みが増えてしまったり、美容的に劣ってしまう。そのため毎回、患者さんの皮膚の厚さや固さ、緊張などを見極めながら、もっとも適切なきずの大きさでおへそへのトロッカーを挿入している。

 ではなぜおへそから最初のトロッカーをいれるのだろう?おへそというのは構造上、底の部分が薄いためである。おへそはへその緒(臍帯)とつながっていたところである。さらに底の部分で血管(臍動脈、静脈)が通っていたために、組織が薄い。しかも皮膚の下は小さな穴があいていることもある。(それが著しいと臍ヘルニアといわれる状態になる。)このような構造がトロッカーを最初におへそから挿入する理由である。


 2つ目の理由は、おへそが体の左右の中央にあることである。特に子宮や卵巣は形態的に左右対称であるので全体を見渡しやすい。これは手術の効率性に大きく貢献する。


 3つ目はおへそがくぼんでいるので、上手くいくときずが目立たなかったり、さらにはきずがなくなってしまうことさえある。つまり美容的に優れたきずになる可能性がある。しかし場合によってへそが大きく変形してしまったり、でべそになってしまうこともある。これらを回避するためにいくつかの工夫をしている。また別に記したいと思う。


 
 

最新記事

すべて表示
腹腔鏡下子宮全摘術後の入浴はいつから?

手術を受けられた患者さんから最も多く寄せられる質問の一つに、「いつから湯船に浸かってよいか」というものがある。日常生活への復帰を目指す上で、入浴は心身のリラックスに欠かせない要素であり、切実な問題であると認識している。とくに多くの日本人は習慣的に湯船に浸かることも多い。 まず、シャワーについては術後翌日から入院中も入ってもらっている。皮膚の傷口を清潔な水で洗い流すことは、手術部位感染(SSI)を予

 
 
大きな子宮筋腫と子宮内膜症が合併したときの子宮全摘

大きな子宮筋腫や子宮内膜症が合併しているとき、手術、特に子宮全摘術の難易度は上がることが多い。 腹腔鏡手術は、お腹の中に炭酸ガスを入れて膨らませ、その限られた空間の中で作業を行う。しかし、子宮が大きく成長していると、お腹の中のスペースは物理的に奪われてしまう。 そこに内膜症による「ゆ着(臓器同士がくっついてしまう現象)」が加わると、状況はさらに複雑になる。子宮を鉗子で操作することが難しく、術野の展

 
 
気腹による痛みを減らすために

腹腔鏡手術後に、肩やみぞおちが痛くなることがある。特に婦人科腹腔鏡手術後は本来手術したところと全く無関係な上半身や肩の痛みが生じて患者さんも心配になってしまうこともある。一応手術前には説明しているが、思ったよりも痛みが強く離床の妨げにもなり苦痛を伴うことも多い。  3年ほど前から麻酔科の先生の協力で手術の終了時に「肺リクルートメント手技」という処置を積極的に取り入れている。ほぼ全例の患者さんに行っ

 
 

© 2025. All rights reserved by miyabe yuki. 

bottom of page