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卵巣癌と子宮癌(頚癌、体癌)との治療の違い

  • 執筆者の写真: Yuki Miyabe
    Yuki Miyabe
  • 2 日前
  • 読了時間: 2分

 卵巣癌は婦人科悪性腫瘍のなかでも発見が難しく、予後も悪いことがある。またその治療も子宮や卵巣の切除の加えて、大網、骨盤から上腹部(傍大動脈)のリンパ節郭清が必要になることが多い。さらには抗がん剤などが必要になることも多い。そのため卵巣癌が見つかったときには多くの場合これらの治療が必要になる可能性が予想される。ここが子宮頚癌や子宮体癌との大きな違いである。もちろん例外はあるが、子宮頚癌は健診を受けていれば多くの場合早期発見が可能である。また子宮体癌は子宮内膜という出血しやすい部位に発生する。そのため初期から出血が始まることが多いので早期に見つかることが多い。そのため、子宮の癌の治療は手術だけ、それも比較的後遺症の残さない治療で終わることも比較的多い。しかし卵巣癌は多くの場合、手術に加えて、抗がん剤などが必要になることが多い。手術も、特にリンパ節郭清それも上腹部まで行う事が多いが、その後一生、リンパ浮腫やリンパのう腫などのリスクがあり、日常生活の質を損なう可能性がある。また抗がん剤の治療後はしばしばダメージが残りなかなか調子が戻らないことも多い。

 

 私は悪性腫瘍を専門にしておらず、良性の卵巣腫瘍やチョコレートのう腫の治療をすることが多い。頻度は少ないが、ある一定の割合でこれらの良性腫瘍が急に悪性化することがある。一般的な婦人科外来診療で卵巣癌を具体的に予防できるほとんど唯一の方法が、この悪性化を防ぐことである。もちろん産婦人科ガイドラインに基づいた治療をしているが、卵巣癌は先に記したように大変な治療になってしまうことが多いので、特に40歳代以上の卵巣腫瘍やチョコレートのう腫を持つ患者さんには一度は手術について説明をするようにしている。

 
 

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