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PMS(月経前症候群)と子宮摘出

  • 執筆者の写真: Yuki Miyabe
    Yuki Miyabe
  • 9月27日
  • 読了時間: 2分

 PMS: 月経前症候群に悩んでいる女性は多い。20代から40代中盤までくらいの女性に多く、イライラしたり、怒りっぽくなってしまたり、ウツのような精神的症状、またむくみや乳房が張ったり、頭痛などの身体的症状に悩まされる。PMSは月経周期の中盤で排卵がおこり、その後プロゲステロン(黄体ホルモン)が分泌することによって生じる。これらの症状のおきる時期は大体決まっていて、PMSの患者さんが受診するときはほとんどの場合、自分でPMSで困っていると言ってくれることが多い。PMSはなかなか手強く、例えば痛にたいする鎮痛剤のように、対症療法的な薬剤も少ない。PMSのなかでも特にPMDD(月経前不快気分障害)にまで及んでいる患者さんは毎月、日常生活が支障がでるほど苦しんでいることがある。


 子宮筋腫などで子宮摘出をする場合、卵巣は温存することが多い。卵巣からの女性ホルモン(エストロゲン、プロゲステロン)の産生を残すためである。子宮を摘出すると、生理はもちろんなくなるが、卵巣は機能は基本的に残る。そのため、術後に患者さんにまたPMSの症状がでてきたといわれることがしばしばある。こちらとしては残した卵巣が術後も機能して女性ホルモンを産生していることが確認でき少しほっとする。でも患者さんはせっかく手術をうけたのにとがっかりしてしまうこともある。こんなときは、生理はないが女性ホルモンは産生されているので更年期の状態ではないことを説明し安心してもらうようにしている。さらにPMSについては低用量ピル、プロゲスチンなどのホルモン療法(排卵をコントロールする)あるいは漢方薬などで対応させてもらっている。月経困難症の治療と同じように、患者さんが社会生活、家庭生活の質をPMSによってできるだけ落とさないようにしたい。

 
 

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