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子宮後壁の大きな子宮筋腫とゆ着

  • 執筆者の写真: Yuki Miyabe
    Yuki Miyabe
  • 12 分前
  • 読了時間: 2分

 子宮筋腫の中でも子宮後壁(裏側、背中側)に発生した大きな筋腫は尿閉の原因にもなり得るが、他にも注意することがある。それは子宮筋腫と周辺臓器のゆ着(くっつくこと)である。


 そのゆ着は2つの理由によって生じる。


 1つ目に、子宮後壁に発生した子宮筋腫は常に直腸と接していることが原因でゆ着が発生する。何年、何十年も子宮筋腫と直腸が接していたり、物理的に摩擦が起きたりしていると

ゆ着が生じる場合がある。このようなゆ着の場合、子宮筋腫は大きく、腹腔鏡の鉗子で子宮筋腫を扱うことが難しいことがある。また長時間経過している場合がほとんどなのでこのゆ着を剥がすことが難しく、直腸損傷などのリスクが発生する。


 また2つ目に、子宮筋腫は寄生(血流を受けること)する性質がある。骨盤底には網の目のように張り巡らされた静脈が存在する。特に後腹膜腔(腹膜の奥)に発生した子宮筋腫は特にこのような静脈から血流を受けることがある。このような静脈は血管を一本ずつ分離して、止血することが難しく、手術のときに出血が増加する可能性がある。また出血の増加だけにとどまらず、出血のコントロールが不可能になる場合もあるかもしれない。


 この2つが、子宮後壁に発生した大きな子宮筋腫がゆ着の原因になる理由である。一般に女性の骨盤は深いので相当子宮筋腫が大きくなっても症状がないことが多い。そのため放置されてしまったり、患者さんも手術を希望しないこともある。しかしときに何らかの原因で手術が必要になったときにはとても高いリスクの手術になる可能性がある。そのため無症状であってもこのような大きな筋腫がある場合は、尿閉などのリスクに加えてこのゆ着の発生リスクについても説明をするようにしている。

 
 

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