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縦方向か、横方向か?子宮筋腫の出っ張りと手術の難易度

  • 執筆者の写真: Yuki Miyabe
    Yuki Miyabe
  • 12 分前
  • 読了時間: 2分

 子宮筋腫の発生の仕方で体の縦方向(上下)、あるいは横方向(左右)への出っ張りがどのくらい大きいかは手術、特に子宮全摘術の難易度を決める重要な因子である。


 一般に縦方向に子宮筋腫、あるいは子宮が大きいときはかなり大きいものまでそれほど手術の難易度は高くならない。しかし横方向に大きく出っ張った子宮筋腫、子宮は手術の難易度が格段に高くなる。それほど大きくない子宮筋腫であれば横方向に出っ張っていても問題にならないが、経験的には10cm以上になると難易度に影響する。


 骨盤内の血管や尿管などの重要臓器は左右のそれぞれ横方向に存在する。また子宮には基靭帯といって子宮動静脈の分枝が流入する部位が子宮側面にある。人体は縦長なので普通に考えて横方向は狭い、そして血管や尿管が子宮の横を走行している。これが横方向に子宮筋腫、子宮が出っ張っていると手術が難しくなる理由である。またさらにこの横方向に発生した子宮筋腫が子宮頚部より(骨盤底)に発生しているとさらの難易度は高くなる。頚部近くは血管や尿管の走行がさらに複雑になり、膀胱が近くにあるためである。


 婦人科医は外来や手術前の内診で子宮の可動性(子宮が動くかどうか)をしきりに確かめる。横方向かつ子宮頚部寄りに発生した大きな子宮筋腫が存在するときは子宮の可動性が悪い。一方、子宮の可動性が良いときは子宮が大きくても縦方向へ出っ張っていることが多く意外と手術のリスクは少ない。

 
 

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