top of page
検索

原点としての子宮筋腫核出術

  • 執筆者の写真: Yuki Miyabe
    Yuki Miyabe
  • 8月23日
  • 読了時間: 2分

 子宮筋腫核出術、特に腹腔鏡下子宮筋腫核出術(TLM:Total Laparoscopic Myomectomy)は自分が腹腔鏡下手術を始めたときに最も魅せられた術式である。子宮筋腫核出術は子宮筋層に切開を入れ、筋腫を核出(取り出す)し、筋層を縫い合わせる。最後に核出した子宮筋腫を体外に回収する。手術の行程は極めてシンプルである。シンプルであるが故に、術者の技量に手術の結果が左右されることが多い。特にTLMの場合、体腔内縫合に習熟しないと出血のコントロールや子宮筋層の再建を行うことができない。そのため子宮筋腫核出術のための体腔内縫合をかなりトレーニングした。学会や研究会でも他の医師の美しく迅速な縫合結紮に感動し真似をしたいと思った。

 

 子宮筋腫核出術は手術の剥離、縫合、止血、再建などの手術の基本操作がややダイナミックなかたちで全て含まれている。そのため一人の婦人科医の手術手技の向上にも寄与すると思う。手術後の再発の可能性もあり適応には慎重を要するが、子宮筋腫を核出することで妊娠できたり、痛みや過多月経の症状も改善することも多くやりがいを感じている。一方、子宮筋腫核出術は手術中に大量出血が発生したり、再発のリスクが高いといった不安定な要素も多く、その適応や術式の検討など課題も多い。


 人口の減少にもより、近年、子宮筋腫核出術の手術件数はやや減少傾向ではあるが、自分の腹腔鏡手術の原点ともいえる手術なので今後も手技の向上を目指したい。


 


 


 
 

最新記事

すべて表示
子宮後壁の大きな子宮筋腫とゆ着

子宮筋腫の中でも子宮後壁(裏側、背中側)に発生した大きな筋腫は尿閉の原因にもなり得るが、他にも注意することがある。それは子宮筋腫と周辺臓器のゆ着(くっつくこと)である。  そのゆ着は2つの理由によって生じる。  1つ目に、子宮後壁に発生した子宮筋腫は常に直腸と接していることが原因でゆ着が発生する。何年、何十年も子宮筋腫と直腸が接していたり、物理的に摩擦が起きたりしていると ゆ着が生じる場合がある。

 
 
縦方向か、横方向か?子宮筋腫の出っ張りと手術の難易度

子宮筋腫の発生の仕方で体の縦方向(上下)、あるいは横方向(左右)への出っ張りがどのくらい大きいかは手術、特に子宮全摘術の難易度を決める重要な因子である。  一般に縦方向に子宮筋腫、あるいは子宮が大きいときはかなり大きいものまでそれほど手術の難易度は高くならない。しかし横方向に大きく出っ張った子宮筋腫、子宮は手術の難易度が格段に高くなる。それほど大きくない子宮筋腫であれば横方向に出っ張っていても問題

 
 
手術のイメージを外来の診療でもいかす

新都市病院の婦人科では手術もするし、もちろん手術前後の患者さんの外来診察もする。また手術の対象ではない一般の婦人科の病気や症状の患者さんの診察もする。  普段手術をしているとさまざまなお腹の状態に遭遇することができる。外来での内診や超音波検査ではイメージしにくい子宮や卵巣の微妙な違い、例えば色や硬さなどの触感、腹膜の状態、また腸管のゆ着なども手術でお腹の中を確認することで初めて確認できることがある

 
 

© 2025. All rights reserved by miyabe yuki. 

bottom of page