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子宮全摘をすると更年期になるのか?

  • 執筆者の写真: Yuki Miyabe
    Yuki Miyabe
  • 9月13日
  • 読了時間: 2分

 ときどき患者さんから「子宮をとると更年期になりませんか?」と質問をうける。更年期は医学的(産婦人科的)には閉経前後のそれぞれ5年間、あわせて10年間を(更年期)という。50歳前後で卵巣機能が低下、あるいは停止して女性ホルモンが出なくなる状態である。

 

 子宮筋腫で子宮全摘をする場合、多くの場合卵巣は残すことが多い。手術後も卵巣から女性ホルモンは出続けるので手術後に急に更年期になることは少ない。子宮をとってしまうと更年期になって倒れてしまうのではないかとかなり心配してしまう患者さんも時にはみえるが、できるだけこのことは時間をかけて説明している。やはり手術後の回復は身体的な回復に加えて、精神的な回復や安心感もとても大事なのでこのことをよく理解してもらうようにしている。子宮を全摘すると、そのことで体調がずっと悪くなるのではないかと心配し続けていると手術経過は問題ないはずなのに、体調や精神面が悪くなりかねない。子宮摘出の計画をしたときに患者さんには基本的には大丈夫であることをよく理解してもらえるようにしている。


 ただし子宮を摘出すると若干卵巣機能の低下が早まる(つまり早く更年期になる)というデータもあり、患者さんにはほてりやのぼせなどの更年期症状がある場合、あるいは症状がなくてもたまに婦人科を受診する(採血をすると女性ホルモンがでているかどうかわかる)ことをすすめている。もしも閉経の状態であると診断した場合も、女性ホルモン補充療法でほとんどの場合改善されるので極端に心配する必要はない。また子宮摘出をしているとこのホルモン補充療法もしやすいのがメリットである。

 
 

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