子宮筋腫核出術の縫合に用いる針糸
- Yuki Miyabe
- 9月17日
- 読了時間: 2分
腹腔鏡下子宮筋腫核出術(TLM:t Total Laparoscopic Myomectomy)は子宮筋腫を核出(摘出する)、子宮筋層の縫合、子宮筋腫の体外への搬出の三要素によってなりたっている。どれも腹腔鏡で行うためには技術の習得が必要である。この中でも子宮筋層の縫合は重要である。縫合を素早く、確実に行わないかぎり子宮筋層から出血が続く。また確実に縫合をしないと将来の妊娠にも影響を及ぼす可能性がある。そのため一般的には腹腔鏡手術を行う婦人科医はかなり縫合のトレーニングを行っている。自分も行ってきた。しかしある程度縫合の技術に習熟してくるとある程度の到達点がみえてきてしまう。それ以上トレーニングを続けることもあるが、使用している器材を工夫してみると劇的な変化が起こることがある。
2年前から、筋層縫合の際に主に針が48mmのサイズの針糸(CTX、ETHICON)を用いている。

よく用いられるのが、自分の経験やテキストでは36mmの大きさの針が多い。帝王切開でも36mmの大きさの針と使うことが多い。特に腹腔鏡手術の場合、36mmだと12mm直径のトロッカーからそのまま針糸を腹腔内の搬入することができ、そのメリットは大きい。しかし大きな子宮筋腫を核出したあとの筋層縫合では36mmの大きさでは筋層の接着の効率が悪いことがあった。そのため48mmの大きさの針を用いてみると非常に素早く、確実に運針することが可能になった。糸もやや太いかもしれないが1号を用いている。針が大きいため一度に組織を合わせることができ、また針の太さも太いため運針がブレない。また糸も太いと結紮も緩みにくい。もちろんあまりにも針が大きかったり、糸が太かったりすると組織への侵襲が大きくなる可能性もあるが、48mm、1号は許容範囲であると考えている。
この方法に代えてから10-13cmほどの筋層内筋腫の筋腫核出術の縫合がより自信をもっと行うことができるようになった。今更ではあるが自分の筋腫核出の適応拡大にも貢献してくれた。
やはりもう工夫の余地もないのではないかと思われる手術もほんの些細なことでも改良しようとする気持ちは大切であると思っている。
