子宮頚部筋腫:子宮腟部が残っているかどうか?
- Yuki Miyabe
- 12月16日
- 読了時間: 2分
子宮頚部筋腫は特殊な位置に発生するため、診断と治療に注意が必要である。頚部筋腫と一口に言っても、発生部位によっていくつかのパターンがある。診断の際に重要なのは、筋腫が子宮頚部のどこに存在しているかを正確に見極めることである。
特にリスクが高く、手術が難しいのは腟部(子宮頚部の腟内の部分)に発生した筋腫である。診断のポイントは腟鏡診で「腟部が正常に残っているかどうか」を確認することである。もしも正常な大きさや形の腟部が残っておらず、筋腫によって腫大している場合は「腟部筋腫」と診断される。この場合、手術の難易度は高く、合併症のリスクも上がるため、治療方針を慎重に検討する必要がある。
一方、腟部が残っている、つまり原型をとどめている場合は、同じ頚部筋腫でもやや頭側に発生していると考えられる。このケースでは腟部筋腫に比べて周囲臓器への影響が少なく、手術のリスクは相対的に下がる。つまり、腟部が残っているか否かが診断上の大きな分かれ目となる。
診断には、腟鏡診に加えて超音波検査やMRIなどの画像診断も有効である。これらを組み合わせることで筋腫の位置や大きさ、周囲臓器との関係をより正確に把握できる。頚部筋腫は症状が出にくいこともあり、健診や偶然の検査で見つかることも少なくない。しかし、放置すると筋腫が巨大化し、手術がさらに困難になることがしばしばある。
患者さんにとって「症状が軽いから大丈夫かな」と思われがちだが、頚部筋腫は位置によって治療の難易度が大きく変わるため、早期に正確な診断を受けることが重要である。
