腹腔鏡手術後の「肩やみぞおちの痛み」
- Yuki Miyabe
- 2025年12月27日
- 読了時間: 2分
腹腔鏡手術は、きずが小さく、体への負担が少ない優れた術式であると今でも思う。しかし、手術を終えた患者さんから「下腹部の傷よりも、肩やみぞおち、背中が痛む」という訴えを聞くことは少なくない。
手術をした場所とは離れた部位に現れるこの痛みは、決して異常なことではなく、腹腔鏡手術特有のメカニズムによって起こる一時的な現象である。
腹腔鏡手術では、お腹の中に空間を作って視野を確保するために、二酸化炭素(炭酸ガス)を注入して膨らませる「気腹(きふく)」という操作を行う。これが横隔膜を刺激することが痛みの直接的な原因である。横隔膜をつかさどる神経は、首や肩の神経とつながっているため、脳が「横隔膜の刺激」を「肩や背中の痛み」として認識して痛みを感じる。
患者によっては、実際には下腹部の痛みよりも、この肩やみぞおちの痛みの方が強く感じられる場合がある。きずの痛みは鎮痛剤でコントロールしやすいが、神経の反射によって起こる痛みは、ずんと重いような、あるいは刺すような独特の不快感を伴うことがある。術後、予期せぬ場所が痛むことで不安になるかもしれないが、これは手術の成否とは無関係であり、安心してもらって大丈夫である。
この痛みについて、最も大切な事実は「必ず短期間で消失する」ということである。 体内に残った二酸化炭素は、腹膜から血液中に徐々に吸収され、最終的には呼吸とともに体外へ排出される。個人差はあるものの、多くのケースでは術後4日目を迎える頃には、気になっていた肩やみぞおちの痛みは消えてなくなる。
