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手術室としての手術への安全性

  • 執筆者の写真: Yuki Miyabe
    Yuki Miyabe
  • 8月19日
  • 読了時間: 2分

更新日:8月22日

 婦人科腹腔鏡手術は、執刀医一人で手術が達成できることは少ない。そのため手術室スタッフの手術への理解や経験は重要である。新都市病院は小規模な病院であるために手術室スタッフの人数も少ない。人数が少ないので、手術が忙しくなるとそのメンバー配置は大変であると思う。一方、人数が少ないと手術に多く携わることができる量といった点ではメリットがある。

 

 私が新都市病院で婦人科腹腔鏡手術を始めたときは手術室にそれまで経験がなく大変であったはずである。しかし7年以上がすぎ、現在はどのスタッフが手術の器械出しや外回りの業務を行ってもほとんど精度をおとさず業務を遂行できている。これは正直、規模の大きな病院ではなかなか実現が難しい(もちろん病院の個体差によるし、小さければよいわけはない)ことである。もちろんマニュアルをつくって業務の標準化を図ろうとするが実際にそれを運用するのは困難なこともある。

 

 新都市病院では婦人科の手術を始めたときに、最もセンスがあり術式の理解に優れたスタッフにまずはほとんどの手術に参加してもらい細かなニュアンスまで徹底的に理解してもらった。その後に他のスタッフ一人一人にその内容が伝わるように指導、伝達をしてもらった。このような努力により現在の新都市病院の婦人科手術全体の安全性、安定性が担保されるようになった。少人数であったことも大きなメリットであった。これが正しいスタッフの教育かは私にはわからない。もしかして組織としてのメンバーの平等性を損なうところもあるのかもしれない。しかしまずは組織ありきというよりも、患者さんの安全を担保することが全ての始まりであり、そのためにどのように組織をつくるかが重要であると思う。


 もちろんあまりに慣れてくると、慣れたがゆえにリスクが生じてしまうこともある。また少人数であるがゆえに意識できないリスクも生じることがある。これらは私自身の手術操作と同様、私を含めた手術室全体として克服していく課題である。




 

 
 

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