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気腹による痛みを減らすために

  • 執筆者の写真: Yuki Miyabe
    Yuki Miyabe
  • 1月6日
  • 読了時間: 2分

 腹腔鏡手術後に、肩やみぞおちが痛くなることがある。特に婦人科腹腔鏡手術後は本来手術したところと全く無関係な上半身や肩の痛みが生じて患者さんも心配になってしまうこともある。一応手術前には説明しているが、思ったよりも痛みが強く離床の妨げにもなり苦痛を伴うことも多い。


 3年ほど前から麻酔科の先生の協力で手術の終了時に「肺リクルートメント手技」という処置を積極的に取り入れている。ほぼ全例の患者さんに行っている。


 これまでの報告を参考に、手術中の気腹圧をできるだけ低くして手術をしたり、また手術終了時にお腹を少し圧迫したり炭酸ガスを排出したりと幾つかの試みをしてきたがあまり術後の肩やみぞおちの痛みが減った感触はなかった。


 しかしこの「肺リクルートメント手技」を導入してから明らかにこれらの痛みが減っていると感じている。もちろん相変わらず痛みが発生してしまう患者さんもいるけど明らかに頻度は減っている。とくにみぞおちが痛くなるとそれが胃などの消化器、あるいは心臓などが痛いのではないかと考えることになる。結局はやはり気腹による痛みであることがほとんどであるが患者さんも苦痛だし、こちらも心配になることがあった。最近はこのような心配はかなり減っている。


 この肺リクルートメント手技はシンプルであり侵襲も少なく効果が大きいと感じている。麻酔科の先生の協力が必要であるが、幸いにも理解をいただいており、患者さんの術後の痛みの軽減や早期回復に貢献できていると思う。


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