経過の長い子宮内膜症のゆ着のリスク
- Yuki Miyabe
- 10月7日
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子宮内膜症のゆ着(くっついていること)は経過が長いとそのはく離(はがすこと)が難しくなることがる。子宮内膜症の病変は慢性炎症がおきていて、最終的にその部分は線維化して固くなっていることが多い。化膿した皮膚でもそのあとしばらく皮膚が固くなっているのと同じことである。つまり年齢の若い患者さんの子宮内膜症は経過が短くゆ着ははがしやすいことが多い。ただしまさに炎症がおきている状態なので出血はしやすい。一方、閉経前後以降の患者さんの子宮内膜症の病変は線維化がすすんでいるので出血は起こしにくいかわりに、固く、その部分をはがすのが難しいときがある。そんなときに注意しなければいけないのが、尿管膀胱損傷、腸管損傷などである。自分の経験でもかなり注意していないと、尿管が思いがけずチョコレート嚢腫に近寄っていたり、それが固くゆ着していることがある。ある報告でも40歳代以上の子宮内膜症の手術は他臓器損傷のリスクが、その年代以下の患者さんの手術と比べて高いといった報告もある。
ゆ着は実際に手術をしてみないとそのはく離の難易度は分からないことが多いが、このようなある一定の傾向はある。特に閉経前後以降の経過の長い子宮内膜症患者さんの手術はより一層注意する必要があると思っている。
