top of page

術後の感染対策としての腟洗浄

  • 執筆者の写真: Yuki Miyabe
    Yuki Miyabe
  • 2025年6月17日
  • 読了時間: 2分

 腹腔鏡子宮全摘術を行う患者さんには術前後にほぼ毎日腟洗浄(加えてメトロニダゾール腟錠剤の挿入)を行っている。患者さんは毎日内診があるので大変だと思う。

 

 腹腔鏡手術の経験が増えたり、術式が安定してくると自分の経験からもデータ的にも合併症の発生率は減ってくる。そしていつも通り手術が終わったとき、また術直後に患者さんが安定して順調な回復をしていても最後に残された課題が術後感染(腟断端炎、骨盤内感染)である。術後感染が一度発生すると入院期間の延長、再入院、場合により再手術など患者さんには苦痛をもたらす。さらに腸閉塞などのリスクにもつながる。


 しかしどんなに工夫していても、また術後感染のリスクが低いと想定される患者さんにも発生するリスクはある。過去にいろいろと術式の工夫や抗生剤の種類を変更してもあまり改善はされなかった。数々の過去の文献をあたっていくと子宮全摘術(開腹や腟式)の前後に腟洗浄と抗生剤であるメトロニダゾールの腟錠やゲルを投与すると術後感染の発生率が減少したとの1980年後半にいくつかの論文にであった。菌交代症のリスクはあるが数日の処置なので大きな問題になることは考えにくい。以降腟洗浄とメトロニダゾール腟錠剤の挿入を行っている。その結果、現在のところ暫定的な結果ではあるが術後感染の発生率は4.3%から1.3%に減少している。また少ないながら術後感染が発生した患者さんも軽症で済んでいる。これまでこの方法による有害事象もない。


 患者さんも毎日の腟洗浄は大変ではあるが術前後の腟洗浄は術後感染(腟断端炎、骨盤内感染)予防に有効であると考えている。

関連記事

すべて表示
ダイエットと禁煙:手術が人生の転機になることもある

婦人科腹腔鏡手術を前に行う診察で、私は患者さんに減量を依頼したり、喫煙の習慣がある方には禁煙をお願いしたりすることがある。どちらも、手術を安全に遂行するために必要であることが多い。 手術を受ける際、患者さんにできることは意外と少ない。麻酔がかかってしまえば、あとはすべてを術者に委ねるしかない。その中で、手術に向けての体重の調整と禁煙は、患者さんが自ら手術の安全性を高めることができる、数少ない準備で

 
 
生成AIとカンファレンスを行う

新都市病院婦人科の常勤医師は私だけなので、普段は手術の手伝いをしてくれる先生以外の産婦人科医師と診療上の問題点を話し合うことはあまりない。そのため、ある程度のこれまでの自分なりの勉強や経験によって患者さんのあらゆる状況に対応している。それでほとんど場合、解決できている。誰かがいればとかあまり思うことはない。しかし、実際の診療はできていても自分の考え方が少しずれていたり、古くなっているかもと心配にな

 
 
手術患者さんの居住地

新都市病院婦人科に手術を受けに来てくれる患者さんの居住地には磐田市、袋井市、掛川市、浜松市などが多い。他に静岡県中部東部、愛知県や関東から手術を受けに来てくれた患者さんもいる。もちろん磐田市の患者さんが最も多いけど、比較的広範囲にひろがっているのが特徴である。患者さんが自分で探して受診してくれることもあるし、患者さんのご家族や友人が治療を受けて紹介してくれて受診してくれることもある。また患者さんを

 
 

© 2025. All rights reserved by miyabe yuki. 

bottom of page