20歳代で子宮内膜症と診断されたとき
ひどい生理痛や下腹部の痛みが続いて受診したり、子宮がん検診などの超音波検査で偶然チョコレートのう腫が見つかったりと、20歳代という比較的若い年代で子宮内膜症と診断される女性は決して珍しくない。
突然聞き慣れない病名を告げられ、これからどうなってしまうのか、将来、妊娠ができるのか子どもを授かることができるのかと、深い不安を抱くのは当然のことである。
子宮内膜症という病気はすぐに命に直結するものではない。しかし同時に、この病気はこれからの人生、日々の生活に深く、小さくない影響を及ぼす病気でもある。
毎月の耐えがたい生理痛や日常的な痛みが学業や仕事、生活の質を容赦なく削っていくことがある。また、病変が卵巣や卵管の周囲に及ぶことで、将来の不妊リスクにつながることも少なくない。命を奪うことはないが、その人の生き方や将来の可能性をじわじわと脅かしていく点に、この疾患の難しさがある。
子宮内膜症には、この治療を選べば誰でも間違いなく完治するという単純な正解は存在しない。病巣の広がり方や進行のスピードは一人ひとり全く異なる。それ以上に、患者さん自身の年齢、いま結婚しているか、そして近い将来に妊娠を希望しているのか、それともまだ先のことなのかといった背景があまりに個別的だからである。患者さんごとの条件が違いすぎるため、一般的な医学研究の大規模なデータ(RCTなど)をそのまま個々のケースに当てはめることすら難しい。
だから、全員一律にこの薬を飲めばいい、すぐに手術をすれば解決するといった単純化をして説明することはできない。
特に、患者さんが将来の妊娠を希望している場合には、いまのお腹の中がどういう状態にあるのか、このまま経過を見た場合、将来どんなリスクが起こり得るのか、薬物療法や手術を選択した際、それぞれのメリットと代償(卵巣機能への影響など)はどうなるのかなど、これまでの医学的な知見と、これまでも自分の経験から、できるかぎりごまかさず、正確に伝えることが不可欠であると考えている。子宮内膜症と診断されたからと言って自分の将来に絶望する必要はない。
