良性疾患の子宮全摘術前の子宮がん(頚部体部)検査は必要か?
- Yuki Miyabe
- 2 日前
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子宮筋腫や子宮腺筋症、子宮内膜症などで子宮全摘術を計画する際、日本ではほぼ全例で、手術前のどこかのタイミングで子宮頚がん・子宮体がんの検査(細胞診など)を行う。日本では不正出血や肥満・糖尿病といった子宮体がんのリスク、あるいは頚部異形成などの子宮頚がんのリスクが特に高くなくても、一種のスクリーニングとしてルーチンで行われるのが一般的である。
しかし、欧米のガイドラインやレビューの記載には、必ずしも症状や既往の有無にかかわらず、全員にルーチンで事前のがんスクリーニングを行う必要はない、あるいは推奨しないという記載が目立つ。この背景には、欧米の医療における検査のコストや患者さん負担と、それによって得られる医療的利益(対費用効果)に対する厳しい評価基準がある。
実際、不正出血などの症状がなく、肥満や糖尿病などのリスクファクターもない比較的若い患者さんの場合、体がんの検査を行っても異常が見つかる可能性は極めて低い。痛みを伴う子宮体がん検査を省略することは、理屈のうえでは十分に可能ではないかとも考えられる。しかし実際にはほとんどの場合、子宮体がんの検査を行っている。
一方で、閉経前後以降で不正出血が続いている場合は話が全く別である。この場合、子宮体がんの検査(細胞診・組織診)は絶対に欠かすことができない。ここで特に注意が必要なのが、子宮粘膜下筋腫や子宮腺筋症を併発しているケースである。不正出血があるけれど、これは筋腫や腺筋症のせいだろうと決めつけてしまうと、背後に隠れた子宮体がんの発見が遅れてしまう危険性が出てくる。超音波(エコー)検査の画像だけでは不十分であり、必ず子宮体がんの検査を併用して確定診断を行うことが必要である。
特に子宮体がんの検査は患者さんにとって痛みや負担のある検査だからこそ、なぜ今この検査が必要なのか、あるいは省略できる条件とは何かをしっかりと見極め、説明し理解してもらうことが大切であると考えている。
