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腹腔鏡下子宮全摘術後の腟断端出血

  • 執筆者の写真: Yuki Miyabe
    Yuki Miyabe
  • 1月31日
  • 読了時間: 2分

腹腔鏡下子宮全摘術(TLH)を終え、無事に退院したあとの生活において、多くの患者さんが不安を抱くのが「術後の腟断端出血」である。手術直後は順調であったのに、退院してしばらく経ってから出血が始まると、「傷が開いたのではないか」「手術の経過がよくないのではないか」と心配になることも少なくない。しかし、その多くは回復の過程で起こる生理的な現象である。


退院後一週間ほどは、出血がほとんど見られないのが一般的である。これは、手術中に腹腔鏡を用いて細部まで精密に確認しながら、電気メスなどによる焼灼(止血)や縫合が確実に行われているためである。手術室を出るときに完全な止血がなされており、この段階の傷口は安定した状態を保っているといえる。


変化が現れやすいのは、退院から10日目から2週間目あたりにかけてである。この時期から、血液が混じった褐色のおりものが出ることがある。手術から時間が経過してからの出血に戸惑うかもしれないが、これは決して異常な経過ではなく、むしろ創傷治癒(傷が治る過程)が順調に進んでいることにもなる。自分の組織が再生しているとき、血流が豊富になってそこから出血が始まるからである。


多くの場合、この出血は術後2〜3週間後をピークとし、その後は徐々に減少していく。個人差はあるが、3〜4週間目まで出血は続くことが多い。場合によっては3ヶ月ぐらい出血やおりものが続くこともある。基本的には自然な経過として様子を見ることができるが、もし「生理のピーク時よりも明らかに量が多い」「レバーのような大きな血の塊が出る」「真っ赤な出血がとまらない」といった場合には注意が必要である。このような場合、病院に来てもらって圧迫止血をしたり、縫合するといった処置が必要になることもある。


この数年でも、腟断端の処理、縫合方法は改良を重ねていて術後の腟断端出血は減少傾向にある。もちろん腟断端の縫合は開腹手術や腟式手術でも100年以上にわたり行われているため、今更、極端な変化は起こることは少ない。むしろ最近では腹腔鏡下子宮全摘術(TLH)のデメリットを少なくするために実は過去の方法に戻っていることすらある。できるだけ腟断端の創面を生理的な状態に戻すこと、できるだけ熱を加えないことに特に注意している。


腹腔鏡下子宮全摘術(TLH)の術後のトラブルのほとんどは腟断端出血と腟断端炎(~Organ SSI)である。どちらもなかなか0にすることはできないが、少しでも退院後の患者さんに安心して過ごしてもらえるように工夫をしていきたい。

 
 

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