top of page

腹腔鏡手術とおへそ:でべそ、おへその変形を防ぐ

  • 執筆者の写真: Yuki Miyabe
    Yuki Miyabe
  • 2025年7月12日
  • 読了時間: 3分

 婦人科腹腔鏡手術はおへその中、一番深いところに小さな切開をいれることがほとんどの場合必要である。なぜおへそに切開をいれるかというと、1つ目にはおへその部分は薄いこと、2つ目にお腹の中の全体が見渡しやすいこと、3つ目におへそはへこんでいるのできずがきれいに治りやすいことである。


 しかしおへそに切開をいれるということはおへそが手術後のきれいに治ってくれるかどうかはいくつか問題がある。おへそはお腹の他の部位とは違って立体的な構造をしていて、しかも皮膚が硬い。またおへそは構造上、皮膚の下が陥凹して(臍静脈、臍動脈が入っていたところ)いる。そのためおへそに底の部分は少しくぼんでいる。このように複雑な形態をしているおへそに最も避けるべきは大きなきずをつくることである。大きなきずをつくるとその後の問題点が2つある。一つは大きなきずを作った場合、皮膚の下をしっかりと塞いでおかないと(つまり筋膜を縫合する)、将来臍ヘルニアになってしまうリスクが生じる。しかしこれが、でべそやおへその変形の最大の原因である。つまり凹んでいた部位が閉鎖されてしまうのでおへそが盛り上がってしまう可能性がでてくる。つまりでべそになるリスクが生じる。2つ目は立体的なおへその皮膚をきれいに縫うことが難しいことである。これによって特におへその変形やでべそになるリスクが生じる。特に重要なのは1つ目である。


 このようなでべそや、おへその変形を防ぐために工夫をしている。 


 最も大切なのがおへそから挿入するスコープ(腹腔鏡)を5mm径にすることである。腹腔鏡のスコープは10mm径と5mm径がある。10mmを使用するとほぼ全例、おへその筋膜を縫わないと臍ヘルニアになるリスクがある。しかし5mmであるとほとんどの場合その必要がなく、陥凹部分は維持される。かつきずが小さいので臍ヘルニアのリスクは少ない。私はほぼ全例の手術を5mmのスコープで行っている。やや視野角が狭いが、機器の向上もあり手術に困ることない。


 次に大切なのは患者さんのおへそのかたちや皮膚の固さ、皮下脂肪の厚さなどを考慮して適切な大きさ(つまり5mmのスコープを入れるために)の切開をおへその底に施すことである。大きすぎても小さすぎでもそれぞれにデメリットが生じる。


 最後には埋没縫合(抜糸がいらない)ではなくて、抜糸が必要な方法でおへその皮膚をあわせている(一部は埋没縫合)。術後におへそから糸が数本出ていて患者さんが驚いてしまうこともあるが、退院のときに抜糸している。おへそは汚れがたまりやすいのでできるだけ異物である糸は感染を防ぐためにも早く抜糸したほうがよいと考えている。

 

 もちろん現在の方法が完全ではなく個人差もあるが、術後のきずの状態は以前より改善していると思う。

最新記事

すべて表示
子宮全摘後に更年期の診断するには?

子宮筋腫や子宮内膜症、子宮腺筋症で子宮全摘をした患者さんで、卵巣を温存した場合でも更年期は必ずやってくる。しかし子宮全摘後は生理(月経)がなくなるため、いつ更年期を迎えたのかを自分自身で把握することは難しいことがある。ほてり(ホットフラッシュ)などの明らかな更年期症状があれば自覚しやすいが、そうした症状が出ない患者さんの場合は、本人が気づかないうちに卵巣機能が低下し、閉経していることもときどきある

 
 
皮様のう腫の脂肪成分を漏らさないために

皮様のう腫は腫瘍の中に脂肪、髪の毛、骨、神経などの組織を含んでいる。また皮様のう腫の患者さんは比較的若い女性が多く、卵巣本体を残す卵巣腫瘍核出術を行うことが多い。 皮様のう腫の卵巣腫瘍核出術を行うときに最も大切なのは卵巣本体をできるだけ残し、腫瘍を除去することである。それに加えて皮様のう腫の内容物をできるだけお腹の中に漏らさないことである。皮様のう腫は脂肪が含まれており、これを漏らすと化学性腹膜炎

 
 
子宮全摘術:退院2週間後の痛み

子宮筋腫、子宮腺筋症、子宮内膜症などで腹腔鏡下子宮全摘術を行った場合、退院2週後に最初の術後診察となることが多い。  そのときには患者さんはまだ痛みを訴えることが多い。とくに食事後に腸が動いたとき、あるいは尿がたまったときや排尿をするとき、あるいは便がたまったときや排便をするとき痛いとの症状が多い。  手術直後や、入院中と比べると痛みは格段に少なくなっているが、退院後2週間たっても痛みがあるため心

 
 

© 2025. All rights reserved by miyabe yuki. 

bottom of page