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もっと細径(細い)鉗子を

  • 執筆者の写真: Yuki Miyabe
    Yuki Miyabe
  • 4月15日
  • 読了時間: 2分

更新日:4月16日

 腹腔鏡下手術には従来からの一般的な腹腔鏡下手術(婦人科では3~4か所の5~10mm程度の傷で行う)の他に、単孔式手術や最近では傷のないvNOTESという術式がある。単孔式手術やvNOTESも魅力的な術式ではあるけれど、いずれもこれまでの腹腔鏡下のメリット、つまり小さな傷でお腹の中を広く見渡せること、なれると手術操作に制限がないこと、助手との共同作業が容易であること、また盲目的な操作をほとんど必要としないことなどを一部犠牲にしながら成立している低侵襲手術であると思う。また適応の制約も少なからずある。


 特にこの6年ほど、3mmの細径(細い)鉗子を特に愛用して手術を行っている。海外では「ミニラパロスコピー(minilaparoscopy)」と呼ばれている。鉗子が細いため把持力が弱いことを除いてはほとんど従来からの腹腔鏡下手術の延長線上で手術を行うことができる。3mmの細径鉗子の傷は数か月もするとほとんど見えなくなる。臍の中の5mmの傷はごく一部の肥厚性瘢痕の発生した患者さんを除いては臍の中に隠れてほとんど見えなくなるので、下腹部の5mm程度の傷が1個だけ残るだけになることが多い。最近では例えば、子宮摘出の約90%をこの方法で行っている。子宮筋腫の患者さんの最大摘出子宮重量は890gであり大きな子宮筋腫にも対応可能である。この術式は完全に傷のない手術ではないが、患者さんのさまざまなお腹の中の状態に幅広く対応でき、応用力が高く、安定した術式であると考えている。少し話が大きくなってしまうけれど、ほとんどを再生可能な器具を使用して手術を行うことができるので環境にもとても優しい術式であると思う。


 細径鉗子の手術は、近年、残念ながら学術的にはほとんど話題になることもないが、自分としては患者さんの安全を担保しながら、より低侵襲な手術として拡げていきたい。もちろん他の術式の長所も積極的に取り入れながら。

 
 

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