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子宮全摘後の卵巣のフォローアップ:北海道のデータから

  • 執筆者の写真: Yuki Miyabe
    Yuki Miyabe
  • 4月4日
  • 読了時間: 2分

子宮全摘手術を受けた患者さんに対しても、卵巣のフォローアップはできれば行ったほうがよいのではと以前から説明している。手術後に何年も受診してくれる患者さんもいる。


最近公表された論文(Fujitaら、2025年)によると、北海道で行われた約48万人の女性を対象とした大規模な調査の結果、子宮頚がん検診に経腟超音波検査(エコー)を併用することで、発見された卵巣がんの81.6%が、早期であるステージIで見つかっていた 。特に、日本人に多いtypeⅠ(明細胞癌や類内膜腺癌など)の卵巣癌の87.0%(特に明細胞癌では95.7%)の発見率であった。つまり日本では経腟超音波検査(エコー)により卵巣の検診は有意義であるとの結論がされている。


卵巣がんの一部は、もともと良性だった腫瘍や子宮内膜症(チョコレート嚢胞)などが、長い年月を経て悪性化して起こることが知られている 。そのため40歳代以降の卵巣のう腫(良性卵巣腫瘍やチョコレートのう腫など)のフォローはかなり注意を要する。


しかし、良性の病気などで子宮全摘を行った患者さんは、必然的に子宮頚がん検診を受ける機会を失ってしまうし、生理の症状や不正性器出血などもないため、卵巣の状態を確認する機会が減ってしまうことが多い。


もちろん、卵巣の検診の費用対効果(コストベネフィット)は議論される余地は大きいと思われる。しかし卵巣癌は初期の段階から、手術(開腹手術、それも広範囲に及ぶリンパ節郭清)や抗癌剤などの化学療法が必要になることが多い。仮に治療が完遂したとしても、その後の人生のあり方もかわってしまうこともある。


そのため、40歳以上の卵巣のう腫を持つ患者さんには一度は手術について説明することにしている。

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