皮様のう腫の脂肪成分を漏らさないために
- Yuki Miyabe
- 2 日前
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皮様のう腫は腫瘍の中に脂肪、髪の毛、骨、神経などの組織を含んでいる。また皮様のう腫の患者さんは比較的若い女性が多く、卵巣本体を残す卵巣腫瘍核出術を行うことが多い。
皮様のう腫の卵巣腫瘍核出術を行うときに最も大切なのは卵巣本体をできるだけ残し、腫瘍を除去することである。それに加えて皮様のう腫の内容物をできるだけお腹の中に漏らさないことである。皮様のう腫は脂肪が含まれており、これを漏らすと化学性腹膜炎の原因になったり、ゆ着の原因になる。
そのため、皮様のう腫の場合は、腹腔鏡下卵巣腫瘍核出術(TLC)あるいは腹腔鏡補助下卵巣腫瘍核出術(LAC)の2つの術式を使い分けている。
どちらの術式も皮様のう腫を核出することは同じである。腹腔鏡下卵巣腫瘍核出術(TLC)は通常の腹腔鏡下手術であり、専用の細長い鉗子をつかってお腹の中で腫瘍を核出する。お腹のきずが小さいというメリットはあるが、腫瘍がやや破れやすく、内容液(脂肪)がお腹の中に漏れやすいデメリットがある。
一方腹腔鏡補助下卵巣腫瘍核出術(LAC)は恥骨上に3cmほどの横切開を施して、最初に専用の器具で内容液を吸引してから腫瘍を核出する方法である。メリットは脂肪成分が大量にお腹に漏れるリスクは少ないが、デメリットは少しきずが大きく、術後やや痛いことである。
私はこれらの術式の特性をそれぞれ勘案の上、大きさ(直径)が5cm以下の皮様のう腫は腹腔鏡下卵巣腫瘍核出術(TLC)、5cm以上の皮様のう腫は腹腔鏡補助下卵巣腫瘍核出術(LAC)で行うことが多い。
経験的には皮様のう腫の大きさが5cm以上になるとやはり腹腔鏡下卵巣腫瘍核出術(TLC)では破れやすい。そのためおよそ5cm以下の皮様のう腫にはこの方法で手術を行う。一方、5cm以上の皮様のう腫については腹腔鏡補助下卵巣腫瘍核出術(LAC)で行うことが多い。あらかじめ脂肪成分を吸引してしまっておくと、その後に脂肪成分がお腹に漏れるリスクは格段に減る。
皮様のう腫の手術は婦人科手術でも基本的な術式の一つではあるが、工夫すべき点や経験はかなり重要であると考えている。特に年齢が若く、将来妊娠を希望する患者さんが多いため、特に慎重に術式を検討する必要があると考えている。
