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膀胱損傷を防ぐために

執筆者の写真: Yuki Miyabe
Yuki Miyabe
10 分前
読了時間: 3分

子宮全摘術を行うときに、いかに膀胱損傷を防ぐかはとても重要である。一度膀胱損傷が起きると、まずほとんどの場合修復が必要であり手術時間が延長する。さらに膀胱留置カテーテルを膀胱内に数日いれたまま入院期間の延長が必要になる。さらにその後、膀胱腟瘻(尿が腟からもれてしまうこと)が起きないかなどを慎重に経過を見る必要がある。最近もYahoo!ニュースに子宮全摘術のときに膀胱損傷が起きてしまった女性の記事が掲載されていた。


しかし、通常の子宮全摘術において膀胱損傷がそれほど頻回に起こるわけではない。この20年以上で、約4500例以上の患者さんの腹腔鏡手術を行っているが、幸い現在までのところ膀胱損傷の発生は0件(0%)である。


もちろん運がよかっただけかもしれないし、もしかして明日の手術で膀胱損傷を起こしてしまう可能性は0ではない。特に帝王切開後の患者さんは、帝王切開の経験がない患者さんよりは明らかに膀胱損傷のリスクが高いことは否めない。また帝王切開の経験のある患者さんは珍しくなく、帝王切開の既往のある患者さんの腹腔鏡下子宮全摘術は日常である。


私が帝王切開の既往のある患者さんの膀胱損傷を防ぐ手術中の工夫として、1つ目に膀胱の輪郭をできるだけ明らかにすること、2つ目に術式を変更することも考えることである。


1つ目の膀胱の輪郭をできるだけ明らかにするには、膀胱と子宮の癒着部分(帝王切開の瘢痕部分)を外側から剥離すること(lateral approach)、また二酸化炭素を膀胱に注入して膨らませること(cystosufflation)などを行っている。やや癒着が強いような場合も、この2つを組み合わせることによってほとんどの場合安全に膀胱と子宮を分離することができる。


2つ目の術式の変更は、あまりにも癒着が強すぎて何をしてもまったく膀胱と子宮を分離する層が見つからない場合である。線維化が著しくて固くなっており、さらに膀胱粘膜が子宮壁にまでおよんでいそうな場合である。私の行う子宮全摘術の対象の患者さんの疾患はほとんどが子宮筋腫や子宮内膜症の患者さんなので、その患者さんの症状をできる限り減らすことを考えつつ、膀胱損傷をさける方法として子宮頚部などを一部残したり、子宮筋腫核出術に変更するようなことがある。もちろんこんなことは稀であり過去数回だけである。


膀胱、尿管、あるいは腸管損傷などの他臓器損傷は正直かなり怖い。ときに患者さんの予後に深刻な状態をもたらしてしまうこともある。もちろんどれだけ注意をしていても避けられぬ合併症は存在する。でも術者の技術の向上や周到さ、術式の選択、手術時の工夫などである程度は減らすことができると考えている。まずは明日の手術も注意して行う。

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