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トラネキサム酸(トランサミン)は術野を落ち着かせる

  • 執筆者の写真: Yuki Miyabe
    Yuki Miyabe
  • 1月20日
  • 読了時間: 2分

腹腔鏡手術において、私は術中に注射用のトラネキサム酸(トランサミン)1gをしばしば使用する。抗線溶作用による止血剤として古くからあるくすりである。


子宮筋腫核出術や子宮全摘術において、トラネキサム酸が出血量を減らすというエビデンスは実はある程度確立されている。しかし自分が勤務してきた病院ではあまりトラネキサム酸を用いることは少なかった記憶がある。私自身はこの4-5年位比較的積極的に術中にトラネキサム酸を投与するようになった。


その最大の目的はエビデンスにあるような出血量の減少ではなく、術野が赤くなる時間を減らし、手術を穏やかに、円滑に進めることにある。


腹腔鏡手術では、開腹手術のように出血したところにガーゼで圧迫しつつ手術をすすめることが制約があり難しい。そのためじわじわと滲み出るようなわずかな出血でもそれが広がるると術野が赤くなってしまう。特にゆ着(くっついていること)が強い症例では、これに悩まされることが多い。ゆ着をはがしていく際、組織からにじむ血液が術野を赤く染めてしまうと、手術の妨げにもなるし、また赤い色は精神をやや興奮させる働きがあるので術者のメンタルにも良くない。


もちろんトラネキサム酸で全く出血しなくなることはないが、出血したようなときに術野が「落ち着く」のが比較的早い気がしている。それは手術が安定した軌道にもどることであり、安心してすすめることができる。


そもそもできるだけ出血をさせないことが重要ではあるが、ときにはある程度の出血とともに手術をすすめる必要がある場合もある。こんなときトラネキサム酸は一助になってくれている。


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