子宮全摘術後のメリット:ホルモン補充療法(HRT)のしやすさ
- Yuki Miyabe
- 6月10日
- 読了時間: 2分
更新日:6月14日
ホルモン補充療法は更年期障害の治療をとして女性ホルモン(エストロゲン、プロゲステロン)を外用(パッチやゲル)、あるいは内服で補充する方法である。
ホルモン補充療法はほてりやのぼせなどの更年期障害を緩和したり、脂質や骨代謝の維持、改善に貢献する。また長期に投与した場合、美容的な面でも大きく貢献する。しかしホルモン補充療法のデメリットとしてわずかながら乳癌のリスクがある。これは主にプロゲステロンが作用すると言われている。また子宮筋腫をもったまま閉経した場合、せっかく小さくなった子宮筋腫を再増大させる可能性がある。また出血が再開することがしばしばある。これらのリスクを心配しホルモン補充療法に二の足を踏む患者さんも多い。
しかし子宮が摘出していると原則プロゲステロンを投与する必要がない。つまり乳癌の発生リスクが低くなる可能性がある。また出血や子宮筋腫が悪化するリスクもない。また投与方法が簡単な連続投与(休薬期間が不必要)を行いやすい。
これらはホルモン補充療法を継続するのにとても大切なメリットであると思う。実際自分の外来でホルモン補充療法行っている患者さんは手術をした後の患者さんが多い。また最近では乳癌や血栓症などのリスクが少ない薬剤も明らかになった。手術、特に子宮全摘術をうけることは大変なことではあるが、将来、こういったメリットもあることを知っておくと少し前向きな気持ちで手術に望んでもらえるかもしれないと思いできるだけ説明するように心がけている。