top of page
検索

子宮内膜症(チョコレートのう腫)と早い閉経、そのリスク

  • 執筆者の写真: Yuki Miyabe
    Yuki Miyabe
  • 6月24日
  • 読了時間: 2分

 子宮内膜症の手術をしたあとに長年経過をみさせてもらっている患者さんが何人かいる。中にはもう10年以上も診察に通ってくれる患者さんもいる。そんな患者さんも40歳代前半から中盤に達する。


 そのような年代に達したとき、子宮内膜症の既往のある患者さんが突然閉経することがある。それまで子宮内膜症の症状である痛みや不妊にさんざん悩まされてきたのに、今度は更年期に若くして入ってしまうことになる。女性ホルモンが低下することによって更年期になるので子宮内膜症にとっては悪くない状況ではあるけど。


 特に40歳代前半で閉経してしまうと、その理由にかかわらず、将来骨粗鬆症や心筋梗塞などの心血管疾患のリスクが上昇する。チョコレートのう腫が卵巣がんに変化する可能性があることはよく指摘されることであるが、意外とこのことは注目されていない印象がある。また患者さんもそれまで生理痛で大変だったのに生理がなくなって安堵しているかもしれない。

 

 このようなときの対応としてはホルモン補充療法といって女性ホルモンのパッチを貼ったり、ゲルを塗ることで解決できる。子宮内膜症の再燃や乳癌のリスクには注意を要するが、たいていの場合安全に使用できる。できれば50歳前後ぐらいまで注意しながら続けると早くきてしまった閉経のデメリットを回避できる。


 子宮内膜症はともすると10歳代で発生することもあり、その女性の人生にながく影響を及ぼす。子宮内膜症に罹患しても決して悲観する必要はないがどうか適切な管理をうけてほしい。








 
 

最新記事

すべて表示
この20年での患者さんの変化:出生率に関係して

先日、2024年度の日本の年間出生数が70万人割れとの報道があった。  長く産科診療には直接関与はしていないが、他の産婦人科の先生からはそれぞれの施設での分娩件数も減少傾向にあるときく。    腹腔鏡手術を始めて20年以上過ぎた。特に子宮筋腫、子宮内膜症など生殖領域にも関わ...

 
 
腹腔鏡手術とおへそ:でべそ、おへその変形を防ぐ

婦人科腹腔鏡手術はおへその中、一番深いところに小さな切開をいれることがほとんどの場合必要である。なぜおへそに切開をいれるかというと、1つ目にはおへその部分は薄いこと、2つ目にお腹の中の全体が見渡しやすいこと、3つ目におへそはへこんでいるのできずがきれいに治りやすいことである...

 
 
子宮摘出後の卵巣のフォロー

子宮筋腫や子宮腺筋症で子宮全摘をするとき、まだ閉経前であることが多い。閉経前ということは卵巣がまだ機能していて女性ホルモンを産生している。そのため原則卵巣を残すことになる。    ところで産婦人科医は患者さんに内診台で経腟超音波検査(エコー)をするときに基本的には子宮と卵巣...

 
 

© 2025. All rights reserved by miyabe yuki. 

bottom of page