OpenEvidence®と対話する:生成AI時代における術式の評価
- Yuki Miyabe
- 5 時間前
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日々の診療や手術の合間に、医療特化型AIであるOpenEvidence®を使う機会が増えている。
一般的な生成AIは文章作成に長けているが、時にハルシネーション(もっともらしい嘘)を交える。それに対し、OpenEvidence®はPubMedなどの査読付き医学論文や国際ガイドラインを直接のソースとし、必ず明確な引用文献(エビデンス)を提示する。医学的に検証可能な事実だけを抽出する専門ツールである。
私はOpenEvidence®を、自分の術式の全体的な評価や他の術式との違い、あるいは欠点などを洗い出すために主に使っている。
OpenEvidence®と向き合う中で痛感するのは、こちらの臨床経験や解剖学的理解、明確な問題意識がなければ、決して本質的な議論には至らないという点である。漠然と問いかければ、AIは「適応や術者の好みの問題」といった一般的な総論を返してくる。しかし、手術で実際に手を動かしたときの感覚や気付きをもとに具体的な論点をぶつけることで、初めて深いディスカッションが成立する。
例えば、近年注目されるvNOTESの評価である。OpenEvidence®の当初の表面的な回答に対し、手術の初期段階における非直視下(ブラインド)での膀胱剥離という構造的リスクについて深く議論を重ねていった。するとAIは、最新の査読論文から精緻なデータを引き出し、どれほど症例数を重ねても術式の構造上ブラインド操作が残るという課題や、導入初期の尿路損傷リスクといった本質的な論点を鮮明に浮き彫りにした。
自らの指先の感覚や経験則だけに頼るのではなく、現場の臨床知をぶつけて最先端のエビデンスと議論を戦わせる。このプロセスを経ることで、術式が内包する構造的な強みや課題を極めて冷徹に評価でき、自分が選択している手技の安全性への確信、あるいは反証となる文献(エビデンス)はないかをより客観的に評価することができると考えている。
実際にOpenEvidence®は手術をしてくれない。手術中に組織の手応えを感じ、患者さんにとって何が大切でどうすることが最善なのかと考えるのは術者である。
しかし、確かな臨床経験を持って、OpenEvidence®を介して最新のエビデンスと対話を重ねることは、術式を客観的に評価し、患者さんに最も安全で誠実な医療を提供するための強力な武器になると感じている。
