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土曜日診療の気づき

去年の10月から土曜日の午前中だけではあるが外来診療を始めた。少しずつではあるけど 土曜日に受診を希望してくださる患者さんも増えている。    実は私自身は土曜日の外来診療をしたことはほとんどなかった。そのためこれまで土曜日の診察風景をあまり具体的に想像できることはなかった。  しかし何となくではあるけど平日に受診される患者さんとは少し雰囲気や表情が違うような気がする。  個々の患者さんの違いというよりも全体的な違いではあるけど、何となく患者さんがリラックスをしている気がする。もちろん平日休みの患者さんもいるし、日曜日が仕事の患者さんもいるかも知れない。それは病院全体の雰囲気あるいは街中の空気も土曜日で柔らかいせいかもしれない。もしかしたら私も金曜日の手術を終えた翌日、しかも翌日が日曜日であり、少しほっとしてるのかもしれない。  もちろん病院や婦人科の受診ということで患者さんは緊張しているとは思う。患者さんがリラックスしているなどとはこちらの見立てが甘いのかもしれないけど、何となく平日とは違った雰囲気、少しだけリラックスしている空気を感じている。

腹腔鏡下子宮全摘術後の腟断端出血

腹腔鏡下子宮全摘術(TLH)を終え、無事に退院したあとの生活において、多くの患者さんが不安を抱くのが「術後の腟断端出血」である。手術直後は順調であったのに、退院してしばらく経ってから出血が始まると、「傷が開いたのではないか」「手術の経過がよくないのではないか」と心配になることも少なくない。しかし、その多くは回復の過程で起こる生理的な現象である。 退院後一週間ほどは、出血がほとんど見られないのが一般的である。これは、手術中に腹腔鏡を用いて細部まで精密に確認しながら、電気メスなどによる焼灼(止血)や縫合が確実に行われているためである。手術室を出るときに完全な止血がなされており、この段階の傷口は安定した状態を保っているといえる。 変化が現れやすいのは、退院から10日目から2週間目あたりにかけてである。この時期から、血液が混じった褐色のおりものが出ることがある。手術から時間が経過してからの出血に戸惑うかもしれないが、これは決して異常な経過ではなく、むしろ創傷治癒(傷が治る過程)が順調に進んでいることにもなる。自分の組織が再生しているとき、血流が豊富になっ

帝王切開後の子宮全摘はゆ着のリスクが減っているのかもしれない

帝王切開の既往がある患者さんの子宮全摘は、帝王切開の傷跡で子宮と膀胱が強固にゆ着(本来離れている組織同士がくっついてしまうこと)していることが多かった。 しかし最近、何となくてはあるがそのゆ着の程度が軽くなっている印象がある。 2000年代前半に帝王切開の術式に変化があった。それまでの帝王切開では、子宮の筋層を縫い合わせた後、その上を覆う「膀胱子宮窩腹膜(ぼうこうしきゅうかふくまく)」も丁寧に縫い合わせるのが日本では一般的であった。 しかし、海外での研究や臨床経験から、あえて腹膜を縫い合わせない方が、術後のゆ着が少ないのではないかという考え方が広がった。その後は筋層を縫合した後、腹膜の欠損部には「インターシード」や「セプラフィルム」といったゆ着防止剤を貼付する処置が主流となっている。 この術式の変化により、子宮全摘術などの際にゆ着はあるが、その程度が軽いことが増えている気がする。 たとえゆ着があったとしても、以前のような固まったゆ着ではなく、比較的容易に剥がせるケースが多い印象がある。 これらにより、手術において最も避けたい合併症の一つである膀胱

DIY(Do It Yourself)で診療をすること

DIY (Do It Yourself) 「組織やシステムに依存せず、自分の手と責任で、納得のいくものを直接届ける姿勢」 新都市病院の婦人科では、私自身が初診で患者さんの症状や悩みを聞き、必要であれば自ら手術を執刀し、退院後のフォローアップまでをすべて自分自身で行っている。この一貫した過程こそが、患者さんに安心して手術を受けてもらうための安心感につながると信じている。 万が一、合併症が発生したときも、私が全責任を負って対応する。自分でできることは可能な限り尽くし、患者さんが希望しなくなったり、拒否したりしない限りは、平穏な日常を取り戻すまで寄り添い続けたいと考えている。 大きな基幹病院では、仕組みや制度上、どうしてもこうした「個の責任」が薄まってしまうことがある。また、日本の産婦人科開業医が手術を業務の柱に据えることも、一般的とは言い難い。そこで前病院を退職するときは比較的小規模な病院で手術をし、すべての過程で自分の目が届くような診療を考えた。 幸いなことに、現在までに多くの患者さんと出会い、手術を任せていただいている。 こうした私の仕事への取り

トラネキサム酸(トランサミン)は術野を落ち着かせる

腹腔鏡手術において、私は術中に注射用のトラネキサム酸(トランサミン)1gをしばしば使用する。抗線溶作用による止血剤として古くからあるくすりである。 子宮筋腫核出術や子宮全摘術において、トラネキサム酸が出血量を減らすというエビデンスは実はある程度確立されている。しかし自分が勤務してきた病院ではあまりトラネキサム酸を用いることは少なかった記憶がある。私自身はこの4-5年位比較的積極的に術中にトラネキサム酸を投与するようになった。 その最大の目的はエビデンスにあるような出血量の減少ではなく、術野が赤くなる時間を減らし、手術を穏やかに、円滑に進めることにある。 腹腔鏡手術では、開腹手術のように出血したところにガーゼで圧迫しつつ手術をすすめることが制約があり難しい。そのためじわじわと滲み出るようなわずかな出血でもそれが広がるると術野が赤くなってしまう。特にゆ着(くっついていること)が強い症例では、これに悩まされることが多い。ゆ着をはがしていく際、組織からにじむ血液が術野を赤く染めてしまうと、手術の妨げにもなるし、また赤い色は精神をやや興奮させる働きがあるの

外科医にとっての最大の敵は傷口からの感染

こんな一節を、心臓血管外科医の天野篤先生の著書(『天職』;プレジデント社)を読んでいたら見つけた。 天野先生とは全く立場や業績が異なり、口に出すのは少々憚られるが、一応外科系の医師の端くれ、それも手術をメインの業務に捉えている私にとって、とても共感できるものであった。 もちろん診療科も違うし、手術のレベル、特性も異なるが、最終的には「術後の感染症をどれだけ発生させないことが大切か」ということをずっと思っている。 ある程度手術に慣れてきたり、術式が定型化されてくると、出血や尿路、腸管損傷などの発生率はかなり減少する。 しかし、術後の感染症だけは、 ・どれだけ手術が短時間で問題なく終わっても ・あるいは「きず」を小さくしても 発生する可能性は依然として残る。 自分の行う手術で術後感染のリスクがあり、さらに重症化する可能性があるのが「腹腔鏡下子宮全摘術」である。 私が行うこの手術による感染症は、術前後の腟洗浄や術式の工夫で、5年前よりは明らかに減少している。しかし、未だに発生率が0%ではない。 0%にならないのは残念ではあるし、患者さんにも申し訳ないと

腹腔鏡下子宮全摘術後の入浴はいつから?

手術を受けられた患者さんから最も多く寄せられる質問の一つに、「いつから湯船に浸かってよいか」というものがある。日常生活への復帰を目指す上で、入浴は心身のリラックスに欠かせない要素であり、切実な問題であると認識している。とくに多くの日本人は習慣的に湯船に浸かることも多い。 まず、シャワーについては術後翌日から入院中も入ってもらっている。皮膚の傷口を清潔な水で洗い流すことは、手術部位感染(SSI)を予防する観点からも積極的にすすめている。 一方で、湯船に全身を浸からせる「入浴」に関しては、現在もある程度の制限は必要かもしれないと考えている。この制限の主な理由は、腹部の小さな傷跡ではなく、子宮を摘出した奥の腟断端(ちつだんたん)」の治癒状況にある。ここが完全に閉鎖して上皮化(粘膜が再生すること)する前に浴槽に浸かると、お湯に含まれる雑菌が腟を通って腹腔内に入り、腹膜炎などの逆行性感染を引き起こすリスクが理論上否定できないからである。 子宮全摘術後の初回受診は通常、退院後2週間目としている。このときの診察で腟断端の治癒状況が良好であれば湯船に浸かることも

大きな子宮筋腫と子宮内膜症が合併したときの子宮全摘

大きな子宮筋腫や子宮内膜症が合併しているとき、手術、特に子宮全摘術の難易度は上がることが多い。 腹腔鏡手術は、お腹の中に炭酸ガスを入れて膨らませ、その限られた空間の中で作業を行う。しかし、子宮が大きく成長していると、お腹の中のスペースは物理的に奪われてしまう。 そこに内膜症による「ゆ着(臓器同士がくっついてしまう現象)」が加わると、状況はさらに複雑になる。子宮を鉗子で操作することが難しく、術野の展開が困難になる。またその術野の展開をしようと、はく離(組織をはがす)したり、子宮を鉗子でやや強く押したり、子宮筋腫を核出しようとする。これらの作業が、出血量の増加、手術時間の延長、あるいは尿管、膀胱、腸管などの他臓器損傷のリスクが増加する原因になる。 自分の経験では子宮が新生児頭大以上、かつ深部子宮内膜症が合併していると極端に手術(子宮全摘術)は難しくなることが多い。これまでに他臓器損傷の経験はないが、手術時間が延長(4-8時間)したり、出血量が500ml以上に増加した経験がある。 一般的に子宮が大きいだけなら何とかなることが多いし、また子宮内膜症でゆ着

気腹による痛みを減らすために

腹腔鏡手術後に、肩やみぞおちが痛くなることがある。特に婦人科腹腔鏡手術後は本来手術したところと全く無関係な上半身や肩の痛みが生じて患者さんも心配になってしまうこともある。一応手術前には説明しているが、思ったよりも痛みが強く離床の妨げにもなり苦痛を伴うことも多い。  3年ほど前から麻酔科の先生の協力で手術の終了時に「肺リクルートメント手技」という処置を積極的に取り入れている。ほぼ全例の患者さんに行っている。  これまでの報告を参考に、手術中の気腹圧をできるだけ低くして手術をしたり、また手術終了時にお腹を少し圧迫したり炭酸ガスを排出したりと幾つかの試みをしてきたがあまり術後の肩やみぞおちの痛みが減った感触はなかった。  しかしこの「肺リクルートメント手技」を導入してから明らかにこれらの痛みが減っていると感じている。もちろん相変わらず痛みが発生してしまう患者さんもいるけど明らかに頻度は減っている。とくにみぞおちが痛くなるとそれが胃などの消化器、あるいは心臓などが痛いのではないかと考えることになる。結局はやはり気腹による痛みであることがほとんどであるが患

腹腔鏡手術後の「肩やみぞおちの痛み」

腹腔鏡手術は、きずが小さく、体への負担が少ない優れた術式であると今でも思う。しかし、手術を終えた患者さんから「下腹部の傷よりも、肩やみぞおち、背中が痛む」という訴えを聞くことは少なくない。  手術をした場所とは離れた部位に現れるこの痛みは、決して異常なことではなく、腹腔鏡手術特有のメカニズムによって起こる一時的な現象である。  腹腔鏡手術では、お腹の中に空間を作って視野を確保するために、二酸化炭素(炭酸ガス)を注入して膨らませる「気腹(きふく)」という操作を行う。これが横隔膜を刺激することが痛みの直接的な原因である。横隔膜をつかさどる神経は、首や肩の神経とつながっているため、脳が「横隔膜の刺激」を「肩や背中の痛み」として認識して痛みを感じる。  患者によっては、実際には下腹部の痛みよりも、この肩やみぞおちの痛みの方が強く感じられる場合がある。きずの痛みは鎮痛剤でコントロールしやすいが、神経の反射によって起こる痛みは、ずんと重いような、あるいは刺すような独特の不快感を伴うことがある。術後、予期せぬ場所が痛むことで不安になるかもしれないが、これは手術

子宮筋腫は経過観察でよいか?大切にしている判断基準

子宮筋腫が見つかったからといって、誰もがすぐに手術を受けなければならないわけではない。「できれば手術を避けたい」「このまま様子を見ても大丈夫だろうか」と不安に思うのは、患者さんとしては当然の心理であると思う。  でも経過観察でよいかどうかの判断には、慎重に評価する必要があると感じている。 受診前の段階で、ある程度「経過観察が可能である」と見通しを立てやすいのは、以下のような条件を満たすケースである。 サイズが数センチ以下と小さい 子宮の内側に影響する「粘膜下筋腫」ではない 貧血や痛みなどの自覚症状がない こうした状況であれば、さしあたりは定期的な検診で変化を追っていくことで十分であると思う。  一方で、子宮筋腫の難しい点は、サイズや場所という数字上のデータだけで一概に判断を下せないことにある。  例えば、7-8センチを超える大きさであっても、周囲の臓器を圧迫せず無症状であれば、そのまま経過を見る選択肢もあり得る。反対に、たとえ2センチに満たない小さな筋腫であっても、発生した場所によっては、生活に支障をきたすほどの出血や不妊の原因になることがある。

卵巣のう腫の手術で大切にしていること:部屋(のう胞)数の違いを知る

卵巣のう腫(チョコレートのう腫や皮様のう腫など)と診断され、手術を勧められたとき、多くの患者さんは「卵巣がなくなってしまうのではないか」「将来の妊娠やホルモンバランスに影響が出るのではないか」と不安を感じると思う。  腹腔鏡下卵巣のう腫核出術を行うとき、最も大切にしているのは卵巣機能の温存である。つまり、病変だけを取り除き、いかに正常な卵巣組織をダメージなく残すか、という点に心血を注いでいる。  卵巣の機能(卵子や女性ホルモンをだすこと)を守るために、これまでさまざまな術式が提案された。手術中にいかに血管を傷つけないか、いかに熱によるダメージを抑えるかといった技術的な工夫はもちろん重要である。  しかし、手術の難易度や、どれだけ正常部分を残せるかを決定づける大切な要因は、実はのう腫の構造(発生の仕方)にあると考えている。 卵巣のう腫には、大きく分けて「単房性(中身がひとつの部屋)」と「多房性(中身がいくつもの部屋に分かれている)」の2つのタイプがある。 単房性(たんぼうせい) 風船の中に水が入っているようなイメージである。この場合、正常な卵巣組織

子宮頚部筋腫:子宮腟部が残っているかどうか?

子宮頚部筋腫は特殊な位置に発生するため、診断と治療に注意が必要である。頚部筋腫と一口に言っても、発生部位によっていくつかのパターンがある。診断の際に重要なのは、筋腫が子宮頚部のどこに存在しているかを正確に見極めることである。    特にリスクが高く、手術が難しいのは腟部(子宮頚部の腟内の部分)に発生した筋腫である。診断のポイントは腟鏡診で「腟部が正常に残っているかどうか」を確認することである。もしも正常な大きさや形の腟部が残っておらず、筋腫によって腫大している場合は「腟部筋腫」と診断される。この場合、手術の難易度は高く、合併症のリスクも上がるため、治療方針を慎重に検討する必要がある。    一方、腟部が残っている、つまり原型をとどめている場合は、同じ頚部筋腫でもやや頭側に発生していると考えられる。このケースでは腟部筋腫に比べて周囲臓器への影響が少なく、手術のリスクは相対的に下がる。つまり、腟部が残っているか否かが診断上の大きな分かれ目となる。  診断には、腟鏡診に加えて超音波検査やMRIなどの画像診断も有効である。これらを組み合わせることで筋腫の

ミレーナが苦手な子宮の状態

ミレーナは、子宮内に挿入して使用するホルモン放出型の子宮内避妊具(IUS)である。  避妊目的だけでなく、生理痛や過多月経の改善にも高い効果が認められており、とてもよい治療であると思う。子宮内に少量の黄体ホルモンを持続的に放出することで、子宮内膜を薄く保ち、生理の量を減らすとともに痛みを和らげる働きがある。 一度挿入すると、基本的には5年間挿入し続ける。5年間挿入し、さらには再挿入を希望される患者さんもいる。  しかし、すべての患者さんに同じように効果を発揮するわけではなく、こんなに有効なミレーナでも苦手な子宮の状態がある。これは子宮内腔がひろがってしまっているときである。その一つに粘膜下筋腫がある場合である。粘膜下筋腫があると子宮内腔が不整となり、ミレーナが安定して留置されにくくなる。また子宮腺筋症により子宮が大きくなっている状態では、薬剤の効果が十分に広がらず、期待した改善が得られにくいことがある。これらの場合、不正性器出血が続いたり、生理の量に変化がなかったりして患者さんのQOLを損ねてしまう。さらに、生理の量がとても多い患者さんは、子宮内

多発性子宮筋腫:子宮が全体に大きくなったとき

子宮筋腫は多発性といってたくさん発生することが多い。これは良性腫瘍でありながら比較的珍しい発生の仕方である。子宮筋腫は子宮頚部から子宮体部どこにでも発生してしまう。  多発性の子宮筋腫でキャノンボールタイプ(砲弾)という発生の仕方がある。これは子宮筋腫が子宮筋層内に前後左右全てに多発して発生してしまうタイプである。骨盤内に子宮が収まっている場合はそれ程手術は難しくないが、臍上を超えてしまうぐらいになると難易度は上がってくる。  大きな子宮筋腫(たとえば15cm以上)が1個だけあって子宮全体も大きくなっている場合は、途中で子宮筋腫を子宮本体と分離するとその後、手術がすすみやすいことが多い。  しかしキャノンボールタイプの多発性子宮筋腫は途中で子宮筋腫を一個一個分離することができない。ときに子宮筋腫の数が30個を超えることもあるからである。出血量も増えやすい。また子宮の可動性(動きやすいか)も筋腫を数個分離しただけでは改善しない。このタイプの子宮で臍上をこえるような大きさの場合の子宮全摘は最も難易度が高い状況の一つであると考えている。...

手術患者さんの居住地

新都市病院婦人科に手術を受けに来てくれる患者さんの居住地には磐田市、袋井市、掛川市、浜松市などが多い。他に静岡県中部東部、愛知県や関東から手術を受けに来てくれた患者さんもいる。もちろん磐田市の患者さんが最も多いけど、比較的広範囲にひろがっているのが特徴である。患者さんが自分で探して受診してくれることもあるし、患者さんのご家族や友人が治療を受けて紹介してくれて受診してくれることもある。また患者さんを紹介していただける開業医の先生の地域の患者さんも多い。 浜松医大を退職する予定になり次の職場を検討するとき、静岡県西部でかつ広範囲に患者さんが受診してくれるといいなと思って新都市病院を選ばせてもらった。また子宮筋腫や子宮内膜症、卵巣腫瘍などで困っている患者さんにたいして、これらの病気にフォーカスをあてた診療をすることができたり、外来での診療や手術を行う医師が一貫していたりすることが可能な病院であることが最も大切であった。  とてもありがたいことに何とか自分が想い描いたような診療が少しずつではあるができていると思う。もちろん全部の患者さんに満足してもら

PMSと自分を責めてしまうこと

PMSでは生理前の身体的な不調に加えて、あるいはそれ以上に精神的な「自己嫌悪」に深く傷ついている患者さんがしばしばみられる。 「子供に些細なことで怒鳴ってしまい、自己嫌悪におちいる」 「仕事で小さなミスをしただけなのに、自分は価値のない人間だと感じてしまう」 「パートナーにひどい言葉を投げつけてしまい、後悔の念でどうしようもなくなる」  このように自分は本当はこんなネガディブな態度や発言はしたくないのについそれが出てしまうことがある。さらにそんな態度や発言をした自分が自己嫌悪の念にかられて苦しくなる。これはPMSや、より精神症状が強いPMDD(月経前不快気分障害)の「症状の一つ」である。生理前は女性ホルモンの急激な変動により、安心感をもたらす脳内物質(セロトニン)が一時的に低下する。その影響で、脳がネガティブな感情にブレーキをかけられなくなり、「全て自分のせいだ」という思考のループに陥りやすくなる。  この状態はとても苦しいと思う。まず感情を乱してしまった自分、さらにはそれをうまくコントロールできない自分、これらに悩み、自分をひたすら責めてしまう

外来をして手術をする:シンプルな1日

産婦人科の研修をさせていただいた最初の病院は午前外来、午後手術が基本的なスケジュールだった。割と少人数の産婦人科は現在でもこのスケジュールは多いかもしれない。最初の経験は仕事でも日常生活でも印象に残ることが多い。最初の病院での経験はこのような仕事割はもちろん、手術や外来での処置など今でも影響を受けていることも多い。  新都市病院の婦人科は月曜日、木曜日は午前外来、午後手術、火曜日と土曜日は外来のみ、金曜日は手術のみの診療である。単調なスケジュールのような気もするけど、このスケジュールは最初の病院のスケジュールと比較的似ている。もちろん自分の立場や環境は全く違うけど身体的な感覚は違和感なく診療をすすめることができている。診療そのものだけではなく他にもこなすべき仕事はあるけど、自分の力の多くを診療に注ぐことができている。  産婦人科医なってもう30年近くたつけど、未だにこんな感覚で仕事に向き合うことができるのは幸運であり感謝している。年齢を重ねてくると外科系の医師でありながら外来入院診療、手術といったシンプルな1日を送ることは意外にも少なくなってくる

子宮後壁の大きな子宮筋腫とゆ着

子宮筋腫の中でも子宮後壁(裏側、背中側)に発生した大きな筋腫は尿閉の原因にもなり得るが、他にも注意することがある。それは子宮筋腫と周辺臓器のゆ着(くっつくこと)である。  そのゆ着は2つの理由によって生じる。  1つ目に、子宮後壁に発生した子宮筋腫は常に直腸と接していることが原因でゆ着が発生する。何年、何十年も子宮筋腫と直腸が接していたり、物理的に摩擦が起きたりしていると ゆ着が生じる場合がある。このようなゆ着の場合、子宮筋腫は大きく、腹腔鏡の鉗子で子宮筋腫を扱うことが難しいことがある。また長時間経過している場合がほとんどなのでこのゆ着を剥がすことが難しく、直腸損傷などのリスクが発生する。  また2つ目に、子宮筋腫は寄生(血流を受けること)する性質がある。骨盤底には網の目のように張り巡らされた静脈が存在する。特に後腹膜腔(腹膜の奥)に発生した子宮筋腫は特にこのような静脈から血流を受けることがある。このような静脈は血管を一本ずつ分離して、止血することが難しく、手術のときに出血が増加する可能性がある。また出血の増加だけにとどまらず、出血のコントロール

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