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子宮全摘をすると更年期になるのか?

ときどき患者さんから「子宮をとると更年期になりませんか?」と質問をうける。更年期は医学的(産婦人科的)には閉経前後のそれぞれ5年間、あわせて10年間を(更年期)という。50歳前後で卵巣機能が低下、あるいは停止して女性ホルモンが出なくなる状態である。    子宮筋腫で子宮全摘をする場合、多くの場合卵巣は残すことが多い。手術後も卵巣から女性ホルモンは出続けるので手術後に急に更年期になることは少ない。子宮をとってしまうと更年期になって倒れてしまうのではないかとかなり心配してしまう患者さんも時にはみえるが、できるだけこのことは時間をかけて説明している。やはり手術後の回復は身体的な回復に加えて、精神的な回復や安心感もとても大事なのでこのことをよく理解してもらうようにしている。子宮を全摘すると、そのことで体調がずっと悪くなるのではないかと心配し続けていると手術経過は問題ないはずなのに、体調や精神面が悪くなりかねない。子宮摘出の計画をしたときに患者さんには基本的には大丈夫であることをよく理解してもらえるようにしている。  ただし子宮を摘出すると若干卵巣機能の低

10月から土曜日診療を開始します

土曜日午前中の外来診療を10月から始めることになった。新都市病院で診療を始めて7年以上経つがこれまでセカンドオピニオンの患者さんや緊急受診を除いて土曜日は休診にしていた。しかし婦人科の患者さんには平日仕事や家事で忙しいことが多く土曜日受診を希望されるかたが結構みえた。また仕事を休んで平日受診してくれる患者さんも多く心苦しく思っていた。これまでいろいろな障壁があり土曜日診療を実現することが困難であったが、10月からいくつかの課題が解決され診療を開始することになった。  特に初診の場合、子宮筋腫や子宮内膜症、卵巣腫瘍などが心配であったり、また手術を迷っているけどなかなか平日に受診できなかった患者さんなどのお役に立つことができたら幸いです。もちろんその他の症状や心配事のある患者さんも遠慮なく受診してください。

自分の感性でおかしいな?と考える

産婦人科医の仕事をしているときも、普段生活していくなかでも少しおかしいなって思うことがある。産婦人科医になって30年弱経つが大きく変わったことも多い。個人的な趣味として古い(30-100年前以上)手術論文を読むことがある。すると現代にもつながる普遍的な手技がすでにその時代に完成されていることを知る。一方、なぜこんな手技があったのかと驚いてしまうこともある。私がこの20年ほど行っている手術は実はそれほど変化は少ない。深部子宮内膜症の切除、子宮筋腫の核出、子宮摘出、骨盤臓器脱などの腹腔鏡手術は既に1990年代全前半にはそのコンセプトは報告されていた。その後術式が細かくモディファイされたり、ロボット支援下手術が導入されている。    しかしこの20年でも、そのときは皆がそれが良いと思っていたり、ある種の流行をしていた手技はいくつかある。そしてだれもがほどんと行わなくなってしまった手技もある。やはり廃れてしまった手技は今になって振り返ると自分もそのときに何か違和感というか、おかしいというか、しっくりこないと思っていたことが多い。それが医学的なエビデンスあ

原点としての子宮筋腫核出術

子宮筋腫核出術、特に腹腔鏡下子宮筋腫核出術(TLM:Total Laparoscopic Myomectomy)は自分が腹腔鏡下手術を始めたときに最も魅せられた術式である。子宮筋腫核出術は子宮筋層に切開を入れ、筋腫を核出(取り出す)し、筋層を縫い合わせる。最後に核出した子宮筋腫を体外に回収する。手術の行程は極めてシンプルである。シンプルであるが故に、術者の技量に手術の結果が左右されることが多い。特にTLMの場合、体腔内縫合に習熟しないと出血のコントロールや子宮筋層の再建を行うことができない。そのため子宮筋腫核出術のための体腔内縫合をかなりトレーニングした。学会や研究会でも他の医師の美しく迅速な縫合結紮に感動し真似をしたいと思った。    子宮筋腫核出術は手術の剥離、縫合、止血、再建などの手術の基本操作がややダイナミックなかたちで全て含まれている。そのため一人の婦人科医の手術手技の向上にも寄与すると思う。手術後の再発の可能性もあり適応には慎重を要するが、子宮筋腫を核出することで妊娠できたり、痛みや過多月経の症状も改善することも多くやりがいを感じてい

手術室としての手術への安全性

婦人科腹腔鏡手術は、執刀医一人で手術が達成できることは少ない。そのため手術室スタッフの手術への理解や経験は重要である。新都市病院は小規模な病院であるために手術室スタッフの人数も少ない。人数が少ないので、手術が忙しくなるとそのメンバー配置は大変であると思う。一方、人数が少ないと手術に多く携わることができる量といった点ではメリットがある。    私が新都市病院で婦人科腹腔鏡手術を始めたときは手術室にそれまで経験がなく大変であったはずである。しかし7年以上がすぎ、現在はどのスタッフが手術の器械出しや外回りの業務を行ってもほとんど精度をおとさず業務を遂行できている。これは正直、規模の大きな病院ではなかなか実現が難しい(もちろん病院の個体差によるし、小さければよいわけはない)ことである。もちろんマニュアルをつくって業務の標準化を図ろうとするが実際にそれを運用するのは困難なこともある。    新都市病院では婦人科の手術を始めたときに、最もセンスがあり術式の理解に優れたスタッフにまずはほとんどの手術に参加してもらい細かなニュアンスまで徹底的に理解してもらった。

子宮を摘出すると子宮があった場所はどうなる?

患者さんからよく聞かれる質問に、子宮を摘出するとそこはどうなるか?つまり空洞や空間ができてしまうのか?といったことがある。  これはなかなか難しい質問ではある。臓器は機械の部品と違ってそこを取り外したりするのと異なる。お腹のなか(つまり腹腔内)は実は腸管(小腸、大腸)の存在感が圧倒的に大きい。つまり腹腔鏡でお腹の中に入ると、子宮や卵巣はほとんどの場合、腸管の下に隠されている。子宮筋腫や卵巣腫瘍が大きいと腸の中から顔をのぞかせていることがある。骨盤高位(頭を下げる体位)にしてようやく子宮や卵巣を確認できることが多い。つまり一般的には子宮や卵巣はお腹の中では存在感は小さい。それよりも腸管の体積が圧倒的であり、しかも腸管は蠕動(動いていること)をしている。子宮を摘出したあともその場所で相変わらず腸管が動いている。だから空洞や空間ができてしまうことはない。  やはりなかなか説明しにくいが、子宮や卵巣はお腹のなかでの機能は別として、大きさといった意味では存在感は小さい。子宮や卵巣を摘出してもそこを相変わらず小腸が動いている。

子宮筋腫による痛み

子宮筋腫は意外と痛みを感じることが少ない。むしろ痛みがないことが基本であると考えている。しかし子宮筋腫でもかなり強い痛みをを感じることがある。その原因には主に2つのパターンがある。    1つは子宮筋腫の変性によるものである。変性というのは筋腫が通常ではない状態になってしまうことである。別にがんに変わるわけではない。変性もいくつか種類があって特に赤色変性といわれる変性が生じたときに痛みや発熱が発生することがある。妊娠中に発症することが多いが、分娩が終了すると軽快することが多い。しかし次の妊娠のときの再び痛くなることがあるので子宮筋腫を核出する場合が多い。また妊娠中に限らず変性による痛みが発生することがある。このようなときも最終的には手術を行う必要がある。  2つ目は筋腫が大きくなってお腹を圧迫しているときに痛みが生じるときがある。これはおそらく大きくなった子宮が腹膜とぶつかって、子宮自体が痛くなったり、あるいは腹膜が刺激されて痛くなるものと考えられる。また痩せ型の体型の患者さんに痛みが生じやすいのでもしかしたら皮膚の知覚への刺激も生じているのかも

術後3-4日目の採血の重要性

新都市病院では、婦人科腹腔鏡下手術の入院日数は5泊6日であり、術後3-4日目に採血をしている。  術後感染は術後3-4日目に明らかになることが多い。これは産婦人科、外科、泌尿器科など外科手術に一般的なことである。手術後の採血は手術翌日、手術後3日目に行っている特に3日目の採血は重要であると考えている。患者さんの状態は悪そうではないのに、想定より少し白血球が高かったり、好中球の割合が高かったりすることがある。こんなときはその日の夜間や翌日に本当に発熱や下腹部痛が発症して術後感染が明らかになることがある。またやはり患者さんの状態は悪そうではないのに思ったよりも貧血が進行しているときがある。そんなときにCTや超音波検査をしてみると血腫が形成されていることがある。早めに対応ができて難を逃れることができたこともある。また患者さんの状態が一見よさそうだとこちらも安心してしまいお腹を触れたりすることが疎かになることがある。そんなとき採血検査によって心配になり、お腹を触れてみるとやはり少し張っていたりすることがある。  術後3日目の採血結果は緊張してみている。

子宮摘出(TLH)施行時の子宮動脈処理

腹腔鏡下子宮全摘術、特にTLH:total laparoscopic hysterectomyを行うとき、子宮動脈をどこの部位で行うかは患者さんの状態、術者によって異なる。最近は子宮動脈を内腸骨動脈から分枝した部位、つまり子宮動脈本幹で処理せずに、いわゆる基靭帯(子宮動脈上行枝)で処理するのが最近の傾向のようである。私も近年、特に細径鉗子を用いた3portでTLHを多く行っていることもあり子宮動脈をいわゆる基靭帯(子宮動脈上行枝)部位で処理することが自然と増えている。この方法のメリットは子宮動脈の尿管枝が保たれることや組織の剥離が少なくてすむことであろう。  私としてはできれば基靭帯(子宮動脈上行枝)で処理、しかし必要な場合はこれまで通り子宮動脈本幹で処理する必要があると考えている。TLHの利点の1つに比較的容易に子宮動脈本幹に到達できることである。これはTAHやTVHにはない腹腔鏡下手術ならでは利点である。これが特に子宮筋腫によって大きくなってしまった子宮、深部子宮内膜症などによってダグラス窩の癒着が酷い場合などに特に有効である。このような手術

触診の大切さ:お腹の微妙な張り

腹腔鏡下子宮全摘の術前後に腟洗浄を積極的に行うようになってから術後の骨盤内感染の発生率は随分少なくなった。  骨盤内感染が発生した場合も比較的軽症であることが多い。骨盤内感染の症状は発熱と下腹部痛である。また採血で炎症所見が必ず認められる。しかし軽症であるゆえに下腹部痛がほとんどないこともある。つまり患者さんの症状は発熱だけで、あとは採血で炎症所見が認めるだけの場合がある。このとき、診断に悩むことが多い。婦人科の内診で腟断端に痛みがあったり、お腹を押すと痛みがあったり(圧痛)すればほぼ確実に骨盤内感染と判断できる。ところがこのように診察をして患者さんのお腹に触れてもあまり所見がないこともある。すると例えば尿路感染症や呼吸器疾患、風邪なども考える必要がでてくるが、このような病気も患者さんの訴えや検査、診察で否定できる事が多い。するとさらに診断に難渋することになる。  そしてこんなときは細菌感染に効果のある比較的広域の抗生物質を開始する。そして効果があるとその翌日には解熱傾向になり、炎症反応も改善する。このときに再度お腹を触れると抗生物質を始める前よ

男性産婦人科医であること

男性である私が産婦人科医として必要なのか思うことがときどきある。もちろんこれまでに途中で他の診療科にかわることも可能ではあったかもしれないがそれなりに仕事をしているとある程度は忙しく続けてきてしまっている。自分の行う手術によって患者さんが元気になってくれたり感謝してくれていることを知ると簡単にはやめたくなくなる。    普通に考えて産婦人科は女性産婦人科医のほうが受診しやすいのは確かだろう。このことは致し方ない。あきらめている。  また外来診療をしていても自分には経験できないというか実感できない症状がすべてである。私に受診していただいた患者さんのなかには、この医者は何にも分かっていないとがっかりされてしまうこともあると思う。でも骨折をしたことのない整形外科医もいるかもしれないと思ってなんとか診療を行っている。    こんな絶望的な思いにかられてしまうこともある。でもわからないからこそ患者さんの状態についてもしかして客観的に診療をできる場面もあるかもしれないと思って診療を続けている。でもきっと限界はあるのだろう、最終的には畏怖の念を抱きながら診療を

摘出した子宮はどこから回収するか?

腹腔鏡下子宮全摘術は一般的におへそに1つ、下腹部に2-3つの小さなきずをあけて手術を行うことが多い。患者さんやご家族から摘出した子宮、特に子宮筋腫で大きな子宮はどこから回収するのか質問をうけることがある。  摘出した子宮は基本的には腟から回収することが多い。子宮全摘は子宮に付属する血管、靭帯、腹膜などを子宮から切り離して最終的には腟と子宮だけがつながっている状態になる。そして最後に子宮と腟を切り離す。これで子宮が摘出される。このとき腟が開かれる。 ここが子宮の回収経路となる。患者さんからすると少し怖いかもしれないけど、婦人科医にとっては重要な経路である。もちろん1kgを超えるような子宮の場合はさらに細くして回収する必要がある。ただし体質的に腟が狭い場合はおへそのきずを少し拡げたり、恥骨上に小さな切開をいれてそこから回収する場合もある。  腟からの検体回収はとても有効ではあるが、半不潔操作であることや腟からの操作で膀胱や尿管損傷を起こした事例も報告されている。特に子宮筋腫が大きかったり硬かったりするとやや力が入ってしまうこともあるので細心の注意をは

この20年での患者さんの変化:出生率に関係して

先日、2024年度の日本の年間出生数が70万人割れとの報道があった。  長く産科診療には直接関与はしていないが、他の産婦人科の先生からはそれぞれの施設での分娩件数も減少傾向にあるときく。    腹腔鏡手術を始めて20年以上過ぎた。特に子宮筋腫、子宮内膜症など生殖領域にも関わる診療をしてきた。普段患者さんを診察している私が感じるには、やはり女性の結婚や妊娠への強い気持ちが、当然個人差はあるが、全体としては減っている気がする。熱量がすくないというか…。これも女性の表現のしかたが変わっているだけであり私が認識できていないだけなのか、本当にそうなのかはわからない。もちろん一産婦人科医としてはその原因を深く追求する立場にはない。  しかし診察をさせてもらう立場としてはこのような変化を意識する必要がある。これまでの自分の理解や常識にとらわれずに、自分をできるだけフラットにして、患者さんに向き合う必要がある。難しいこともあるかもしれないがそういった思いではいたい。

腹腔鏡手術とおへそ:でべそ、おへその変形を防ぐ

婦人科腹腔鏡手術はおへその中、一番深いところに小さな切開をいれることがほとんどの場合必要である。なぜおへそに切開をいれるかというと、1つ目にはおへその部分は薄いこと、2つ目にお腹の中の全体が見渡しやすいこと、3つ目におへそはへこんでいるのできずがきれいに治りやすいことである。  しかしおへそに切開をいれるということはおへそが手術後のきれいに治ってくれるかどうかはいくつか問題がある。おへそはお腹の他の部位とは違って立体的な構造をしていて、しかも皮膚が硬い。またおへそは構造上、皮膚の下が陥凹して(臍静脈、臍動脈が入っていたところ)いる。そのためおへそに底の部分は少しくぼんでいる。このように複雑な形態をしているおへそに最も避けるべきは大きなきずをつくることである。大きなきずをつくるとその後の問題点が2つある。一つは大きなきずを作った場合、皮膚の下をしっかりと塞いでおかないと(つまり筋膜を縫合する)、将来臍ヘルニアになってしまうリスクが生じる。しかしこれが、でべそやおへその変形の最大の原因である。つまり凹んでいた部位が閉鎖されてしまうのでおへそが盛り上が

子宮摘出後の卵巣のフォロー

子宮筋腫や子宮腺筋症で子宮全摘をするとき、まだ閉経前であることが多い。閉経前ということは卵巣がまだ機能していて女性ホルモンを産生している。そのため原則卵巣を残すことになる。    ところで産婦人科医は患者さんに内診台で経腟超音波検査(エコー)をするときに基本的には子宮と卵巣の両方を観察している。患者さんが産婦人科に受診するときは子宮に関する症状、検診が圧倒的に多い。そんなときに卵巣の病気、つまり卵巣のう腫、卵巣腫瘍、チョコレート嚢腫などは偶然見つかることが多い。子宮がん検診のオプションで経腟超音波検査を行ったり、妊娠して初めて産婦人科に受診したら偶然、卵巣の病気が見つかることがときどきある。  しかし、子宮を摘出すると当然ではあるが、生理の症状に悩ませることもないし、子宮がん検診を受ける必要もなくなる。そのため産婦人科に受診することが少なくなるし、なかには生涯産婦人科に受診することがない人もいるかもしれない。  そのため知らない間に卵巣のう腫や卵巣腫瘍が発生している場合もある。しかも卵巣の病気は初期段階ではほとんど症状がない。なかには良性の卵巣腫

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